令和6年4月29日(月) 掲載

 以前、診療室に来院された50代前半の主婦Aさんの出来事です。
 右下の奥歯が歯周病で、「グラグラで噛むと痛いので何とかして欲しい!」と・・・。
 検査の結果、歯を残すことは難しいと診断し、抜歯することになりました。
 術前にAさんの現在の体調や健康状態を確認し、他科への通院経験や飲んでいる薬も無いとから、局所麻酔後抜歯を行いました。
 歯を抜いた傷口にカーゼをあて(圧迫止血)、血が止まるのを待っていましたが、Aさん全く血が止まりません。
「 おかしいなあ~?」と思った私は、即に血圧を測ってみました。
 Aさんは高血圧症だったのです。
 急いで市内の総合病院の歯科口腔外科へ、止血処置をお願いして事無きに終えましたが、後日Aさんに話を伺ったところ、健康診断も受けたことがなく、今までに通院を余儀なくされる病気に罹ったことがないことから、自分はいたって「健康である」と思いこんでいた節があったようです。
 とりあえず、内科を受診するように勧めたところ、加えて「糖尿病」も判明しました。  
 つまり、「病院に行ったことがない」=「健康」という図式は成り立たちません。
 歯科においても、「歯は丈夫なんだよねぇ!歯医者に行ったこともないんでねぇ!」って自慢される方、結構おみえになります。
 でも、いろんな考え方があります。
 本当に歯が健康で歯科に行ったことがない、ムシ歯はあるけど痛くなったことがない、歯が痛くなったことはあるけど歯医者が嫌いで、ご自身は歯が健康だと思い込んでいる、歯は綺麗なのに意外に歯周病になっていることに気づいていないなど様々です。
 体もそうですが、歯も年齢と共に傷んでくることが多いので、大事になる前に年に1度は歯の健診を受けることをお勧めします。
 是非、「歯医者さんに定期健診へ行った」=「歯は健康だった!」にして欲しいものです。

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