令和6年7月8日(月) 掲載

 最近では、健診項目の中にも骨粗鬆症(こつそそうしょう)が追加され、すでに健診を受けられたり、実際に治療を始められている方もおられるかと思います。
 その一方で、骨粗鬆症で使用される薬の中には、口の中と関係が深いものがあることはご存知でしょうか?
 ここで、まず骨粗鬆症について確認しましょう。
 もともと我々人間の骨は、古くなった部分を壊しながら、新しい骨に置き換えるといった、いわゆる新陳代謝の機能を持っています。
 これによって、頑丈でしなやかな骨の状態が保たれているのですが、カルシウム不足や女性においては閉経後のホルモン分泌の変化などにより、新陳代謝のバランスが崩れると、新しい骨ができにくくなります。
 その一方で、古い骨が壊されるのは変わりなく続きます。
 この結果、骨の密度が粗く、スカスカの状態になってしまったのが骨粗鬆症です。
 また女性は、男性よりも骨の量が少ないために、骨粗鬆症が症状として現れやすいといった側面もあります。
 骨粗鬆症になると、当然骨折しやすくなってしまいます。
 大腿骨や骨盤など、場所によっては骨折が寝たきり状態につながりやすいものもあり、その対策として骨粗鬆症の早期発見、早期治療が重要視されています。
 さて、骨粗鬆症と診断された場合、その治療方法は薬をのむ治療が中心になります。
 その骨粗鬆症の一部の薬には、服用期間中に抜歯やインプラントなどの外科処置を行うと、あごの骨の壊死(えし)や骨髄炎をおこしてしまうという報告があります。
 また、外科処置を行わなくても、口の中がひどく汚れていると、やはりあごの骨にトラブルがおきる可能性が高くなります。
 これらを予防するには、骨粗鬆症の治療で薬が出されたら、このことを必ずかかりつけの歯科医に報告して下さい。
 また口の中が不潔になっているとあごの骨の壊死につながりやすくなりますので、日頃から口の中の清掃を心がけ、歯科における定期的なメンテナンスやプラークコントロール(ブラッシング)を中心とした歯のクリーニングを受けられることをお勧めします。