だ液のもつすごいパワー

平成25年1月28日(月) 東愛知新聞掲載

だ液は直接見たり触れたりすることができますが、皆さんはだ液についでどのくらいご存知ですか?
 どちらかというと、不潔なイメージがあるかもしれません。
 だ液は1日に1000~1500ml位分泌され、様々な役割を果たしています。
 だ液は口の中に潤いを与え、食べ物を飲み込む時や発音する時などの助けになっています。
 また、消化酵素の働きにより、栄養の吸収をすみやかにする働きがあります。
 「ご飯をよく噛めば噛むほど甘くなる」ことはご存知かと思いますが、これはだ液中に含まれるアミラーゼという消化酵素が、デンプンを分解して糖分に変わるからです。
 この作用は、肥満防止にも深い関係があり、食べ物をよく噛んでだ液と混ぜてお腹に入れると、デンプンが早く糖分になるので、血糖値が上昇することにより、満腹感が早く達成され食べ過ぎを防ぐことができます。
 さらに、だ液にはムシ歯を予防するというすごいパワーもあります。
口の中や歯の間に残った食べカスを洗い流したり(自浄作用)、だ液中の抗菌物質がムシ歯の原因菌を弱らせる働きがあります。
 歯磨きをしないで寝てしまうと、寝ている時はだ液の分泌量が少なくなるので、逆にムシ歯になりやすくなります。
 初期のムシ歯であれば、だ液中のリンとカルシウムの働きで、ムシ歯を治す(修復する)こともできます(再石灰化作用)。
 特にカルシウムは、白斑状の初期ムシに有効です。
 また、リゾチームやラクトフェリンと言われる成分は、ムシ歯や歯周病の元凶となる雑菌から守ってくれる働きがあります。
 他にも、口の中のphを一定に保つことにより、細菌の増殖を防ぐ働き(ph緩衝作用)があり、これらの働きによりムシ歯になりにくくなります。  だ液の粘り成分であるムチンは、お口の中や喉(のど)の粘膜が食べ物などで傷つかないように保護しています。
 ガンの原因となる突然変異原性発がん性物質を、だ液中に含まれているペルオキシターゼという酵素が分解して、ガンの予防にも一役かっています。
 更に味を感じることができるのもだ液があるからこそです。
 このように普段あまり意識することのないだ液ですが、こんなにすごいパワーをもっています。  だ液が多く分泌されればされる程、より多くの効果が期待できます。
 そのためにも、よく噛んで食事をすることが大切ですし、よく噛むためにはムシ歯や歯周病のない健康で丈夫な歯が必要となります。