歯科技工物の安全性について

平成25年2月25日(月) 東愛知新聞掲載

歯科医院での治療には様々なものがありますが、治療の原則は「失われた機能」を回復することです。
 私たち歯科医師は、例えば歯がグラグラになってしまったら、少しでも揺れを無くすように治療しますし、ムシ歯になってしまったら、なるべく健全な歯の部分を残して、元の歯の形に戻すように治療を行います。
 残念ながら、ムシ歯が広範囲に広がっていたり、歯が大きく欠けてしまった場合は、元の歯の形状に戻す際に、詰めるだけでは強度が不十分になるので、型取りをして、金属やセラミック(陶材)などの材料を用いて被せものをしたりします。
 さらに、歯を失ってしまった場合には、取り外し式の入れ歯(義歯)や失ってしまった歯の前後を土台にした固定式の入れ歯(ブリッジ)、あるいは直接顎(あご)の骨に植立して人工の歯を作るインプラント治療を行います。
 こうした被せもの・ブリッジや入れ歯(義歯)といった人工の歯を総称して、「歯科技工物」と呼んでいます。
 原則として、現在歯科治療に使われる金属、樹脂(プラスティック)、セラミック(陶材)などの歯科技工で用いられる材料は、長期の安定性があり、ヒトの身体に馴染むものしか使われていません。
 種類によって、保険適用なものと、保険適応外のものがありますが、いずれにせよ口の中の状況に応じて、患者さんに合ったものを歯科医師が選択肢を提示しますので、希望があればリクエストして下さい。
 ただし、ヒトによっては、どんな種類の材料に対してもアレルギー反応を起こす場合があります。
 この場合、症状が出てみないと原因物質が特定できないことが多いのが現状です。
 特に、歯科の治療に用いられる金属は、単体で用いられることは殆どなく、合金が用いられますので、金属アレルギーに対して心配がある場合は、治療に入る前に必ず歯科医師にお伝え下さい。
 私たち歯科医師は、身体に適した材料を用いて、少しでも多くの患者さんに喜んでいただけるように治療をしています。
 より良いお口の中の環境を作るため、安心・安全な歯科技工物を用いることが、私たち歯科医師にとって良い治療を行うための必須条件です。
 治療に対する不安や不明な点などありましたら、何なりとお申し付け下さい。