キシリトールって、本当に歯にいいの?

平成25年4月8日(月) 東愛知新聞掲載

現在では、誰でも一度は耳にしたことがある「ムシ歯予防とキシリトール」。
 なぜ、甘味料なのにムシ歯になりにくく、またムシ歯を予防すると言われているのでしょうか?  
 そもそも“キシリトール”って、どんなものなのでしょうか?
 多くの果実や野菜の中に天然で含まれる自然の甘味料です。
 例えばイチゴには、乾燥したときの重量100グラム中に約300mgのキシリトールが含まれています。
 用途は主に砂糖の代用品です。
 砂糖の成分の大半を占めるスクロースと同等の甘さがあり、砂糖と違ってお口の中で酸を作り出さず、カロリーも砂糖より25%(同グラム計算)少なく、ダイエット効果も期待できます。  
 ムシ歯は、ムシ歯の原因菌であるミュータンス菌が、砂糖などを発酵させ酸を作り出し、この酸によって歯の表面であるエナメル質が溶かされることにより発生します。
 しかしキシリトールは、ミュータンス菌で発酵することはなく、歯の表面を溶かす酸を作りません。
 それだけでなく、ミュータンス菌が体内に取り込まれると、菌自体が持っているエネルギーを放出させることにより、力を弱め次第に菌の数を減らすことができます。
 その結果、他の甘味料(砂糖など)を食べたときも酸を作り難くし、口の中で作られる酸の発生が徐々に減少し、ムシ歯になりにくくする効果が次第に高くなります。
 この酸の抑止効果は、長期間キシリトールを取り込むことにより次第に強くなることも証明されています。
 またキシリトールは、その清涼感のある甘さにより、だ液を出させる(分泌する)効果があります。  
 だ液の量が増えると、お口の中をきれいに洗い流してくれるだけでなく、だ液に含まれる様々な成分によって、歯の成熟作用や石灰化作用が促進されるといわれています。
 中でも、キシリトール配合のガムでは、噛むことによってだ液の分泌効果がより高まります。  
 また最近では、だ液は人が本来持っている病気から身を守る自己防御機構の重要な要素として注目されています。
 ムシ歯に限らず、健康を保つために役立つだ液を十分に出すためにも、キシリトールを活用することができるのです。
 キシリトールは、ムシ歯の原因となる酸の生産に利用されないため、ムシ歯になりにくい甘味料ですが、いくらキシリトールガムを噛んでも、日常生活で頻繁に糖類を摂取しているような食生活では、ムシ歯を発生させてしまいますので注意して下さい。 
 私たちの生活の中において、キシリトールは優れものの「名脇役」なのです。