将来、歯を抜かないようにするために、今できること

平成25年6月17日(月) 東愛知新聞掲載

現在、40歳以上で歯を喪失する原因の第一位は歯周病です。
 歯周病は「国民病」とか、「生活習慣病」と言われる程、中高年の約8割がかかっていると言われています。
 歯垢(プラーク)や歯石(歯垢が長時間、口の中に放置され、だ液の中のカルシウム分などにより石灰化し、あたかも石のように硬くなったもの)は細菌の塊で、付いたまま放置しておくことで炎症を引き起こし、歯グキが赤く腫れたり、出血しやすくなります。
 さらに進行すると、歯槽骨(歯グキの中にある歯を支えているあごの骨)が溶けて、膿が出たり、歯がぐらぐら揺れてきます。
 この時期まで進むと、長期の治療を受けなければならず、簡単な治療では治りません。
 歯周病の恐ろしい点は、初期や中期には痛みをほとんど感じることがなく、症状がどんどん進行することです。
 初期の段階では、ムシ歯のように歯に穴があいたり、痛くなったりといった症状が現れにくく、かなり進行してからでないと痛みや腫れという自覚症状が現れません。
 歯周病は自然治癒することはありません。
 放置してしまうと、その症状はどんどん進行します。
 そのためには、早めに予防の手を打つ必要があります。
 歯周病を治す方法は、常にお口の中を清潔にしておくことが一番です。
 食べたら磨く習慣をつけ、1日1回時間をかけて丁寧に歯を磨く(ブラッシング)することが大切です。
 食べカスを残した口の中は、確実に細菌が繁殖しますし、特に寝ている時は通常よりも細菌の増殖が活発になります。
 その細菌は、間違いなく歯を溶かしてムシ歯になり、歯グキを腫(は)らしたり、出血する原因になります。
 どんなに遅く帰っても、どんなに飲んで帰っても、必ず歯を磨く(ブラッシング)ことを忘れないようにして下さい。
 正しい歯の磨き方を覚えることで、磨き残しを少なくすることが大切です。
 お口の中の状態は、人それぞれに違いがありますので、歯ブラシの動かし方や使い方、歯グキへのマッサージの仕方も、それぞれに違いがあります。
 誤った歯の磨き方(ブラッシング)をすると、歯や歯グキを傷つけ、その結果かえってダメージを与えてしまうことになります。
 毎日、時間をかけて歯を磨いて(ブラッシング)していても、ムシ歯や歯周病になってしまっている方は、歯科医院で正しい歯磨き(ブラッシング)の仕方を確認して下さい。
 ひょっとすると、そこに大きな落とし穴があったりすることがあります。
 そして、半年に1回程度は、歯の定期検診を受けられることをお勧めします。