誤嚥性肺炎をご存知ですか?

平成25年9月23日(月) 東愛知新聞掲載
豊橋市歯科医師会理事 鈴木誠一郎

誤嚥」という言葉を聞いたことがありますか?  
 誤嚥とは、食物や唾液などの分泌物あるいは胃や食道からの逆流物が気管に入り込むことを言います。また、誤嚥の中でも、むせや嘔吐などもなく、本人も気づいてないうち(寝ている間)に誤嚥をしてしまうことがあります。その食物や唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込むことで起こるのが誤嚥性肺炎です。  
 特に高齢者においては気づいていないうちに誤嚥をしてしまうことが多く、誤嚥性肺炎を多く発症しますので、予防に努めることが重要であり、かかってしまった際には完全に治すことが大切です。  
 予防対策としては①口腔の清潔を保つ、②胃液の逆流を防ぐ、③嚥下反射を改善する、などがあります。
① 口腔を清潔に保つ
 口腔は肺や胃腸の入り口です。適度な湿度や温度を保つ口腔は細菌の繁殖にとって最適な場所です。そのために歯磨きをしっかり行い、口の中の細菌の繁殖をさせないようにすることが大切です。
② 胃液の逆流を防ぐ  
 げっぷや胸やけなどがある場合は、胃液の逆流が起こりやすいです。その場合は食後2時間程座って身体を起こしていることで、逆流を防止できます。
③ 嚥下反射を改善する  
 嚥下とは噛み砕いた食物や唾液などを飲みこむことで、それがうまくいかないことを嚥下障害と言います。  
 私たちは食物を噛み砕く、噛み砕いたものを口の奥に送り込む、嚥下する、といった流れで食事をします。このとき気道に食物が流れ込まないよう口腔内で一連の動きが起こります。この一連の動きに支障をきたすのが嚥下障害です。  
 物を飲み込みにくい、飲み込む時に痛みがある、口から食物がこぼれたり口の中に残ったりする、よだれが出る、口が渇く、食べるのに時間がかかる、飲み込んだ後に声が変わる、飲み込む前後や最中にむせたり咳こんだりする、食物や胃液が口の中に逆流したり吐いたりする、などの症状がみられたら、かかりつけ医に相談しその人に合った食事や介助をする必要があります。   人間は1年1年老いていき身体機能も劣っていきます。当然、生きていく上には食事をするのですが、高齢者、病気等により身体に障害を持った方は楽しい食事も生命の危険となりえます。そのことをしっかり意識して、誤嚥のない楽しい食生活を送って頂きたいと思います。