フッ素について

平成25年11月18日(月) 東愛知新聞掲載

皆さんは「フッ素がむし歯予防に有効」ということはどこかで聞いたことがあると思います。 そんなフッ素は私たちの身近に自然にある元素のひとつで、多くの食品に含まれている栄養素の1つです。少しずつでよいけれども必ず摂らなければならない微量栄養素(ビタミン類やミネラル類など)と呼ばれ、フッ素は大切な栄養素であるミネラルのひとつです。 また、私たちの身近にある多くの食べ物に含まれているフッ素は、フッ素そのものだけでは存在しません。ナトリウムと結びついたフッ化ナトリウム、カルシウムと結びついたフッ化カルシウムのように、必ずほかの物質と結びついて存在しています。

フッ素を歯に応用する際には次のような方法があります。

1.保健所や歯科医院などで幼児がフッ素を歯に塗ってもらう「フッ化物歯面塗布」

2.保育園や幼稚園、または小中学校でフッ素の水溶液でうがいをする「フッ化物洗口」

3.フッ素が含まれた歯磨材を歯磨きの利用「フッ化物配合歯磨剤」

4.外国では水道水のフッ素濃度を調節することによりその水道水を利用しての「水道水フロリデーション」などがあります。 フッ素の虫歯予防の働きには、次のような効果あります。 酸産生抑制:歯磨きで落としきれなかったプラーク(歯垢)が作るむし歯の原因菌の働きを弱め、プラークが作る酸の量を抑えてくれます。

石灰化の促進:歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着(再石灰化)を促進させます。

歯質強化:フッ素が歯に取り込まれ、歯の表面を酸に溶けにくい強い性質(フルオロアパタイトが形成)に改良します。


フッ素の応用方法には色々な方法がありますが、次のことに気をつけることでより一層フッ素の効果を高めることができます。
1.フッ素を使用する前にプラークコントロールを行い、プラーク(歯垢)を落とす。
2.フッ素の濃度よりも、回数や隅々まで行き渡っているかどうかが重要。 3.複数のフッ素利用法を併用する。
4.フッ素使用後、しばらくの間(30分くらい)は飲食しない。

進行した虫歯は、フッ素だけでは治りません。 フッ素は歯の再石灰化能力を高めるので初期の虫歯には有効ですが、すでに穴が空いていたり、痛みがあるような虫歯はフッ素だけで治ることはありません。 フッ素は、虫歯の予防と初期の虫歯の進行抑制に対してのみ有効です。 進行した虫歯がある場合には、出来るだけ早く歯科医院へ行って治療をしましょう。