指しゃぶりと歯並びの関係について

平成26年5月12日(月) 東愛知新聞掲載

赤ちゃんのころは、ほほえましいものとして見ていた指しゃぶりですが、年齢が上がってくるといろいろな心配がでてきます。そもそも、なぜ子どもは指しゃぶりをするのでしょうか。それは、乳児期の指しゃぶりは、反射的・本能的な意味合いがあるためです。赤ちゃんは、自分の指やおもちゃを口に入れたり、なめたりすることで口や舌を動かす練習をしているのです。これは、成長過程の一つなので問題はありません。
 幼児期になっても指しゃぶりが続いている場合はどうでしょう。これは、乳児のものと似て非なるものといえるでしょう。3歳ごろの指しゃぶりのパターンとして、次のようなものが考えられます。
〇赤ちゃんの頃からの習癖化として無意識に行う。
〇緊張したときやストレスによりセルフコントロールとして行う。
〇その他、環境不適応などが考えられ、注意が必要なもの。

 さて、指しゃぶりと歯並びの関係をみていきます。3歳ごろに乳歯の奥歯も生えそろうので、乳歯のかみ合わせが完成した後も指しゃぶりが続くと歯並びやかみ合わせに影響が出やすくなります。この頃の指しゃぶりには、積極的な対応を考えた方がよい時期といえるでしょう。
 まずは、お子さんの指をしゃぶっている状況をよく見て、その頻度を減らすことから試みてみましょう。お母さんの心配や焦りもあるでしょうが、お母さん自身が気持ちに余裕を持つことが大事です。そして、お子さん自身の「やめようとする意志」を育てることが大切です。
では、具体的な対策例です。
〇いい聞かせ  
 「赤ちゃんのすることだよ、もう赤ちゃんじゃないからね」などと自覚を促す。高年齢に適します。
〇遊ばせる  
 外遊びや、ブロック、積み木、ままごとなど、よく手を使う遊びで忘れさせる。昼間の効果が高い。
〇さりげなく、しゃぶれなくする  
 指しゃぶりを始めたら、手をつないで歩く、抱っこして手を口にいかせないようにする。寝るときにも手をつないで寝ると効果があります。
 これ以外に手袋をはめたり絆創膏を貼るなどの物理的な方法もありますが、自分ではずしてしまったりして効果が低い。また叱りとばすと一時的には成功しますが、隠れて行うようになり、こどもが罪悪感をもつなどの弊害があります。
 いずれにせよ、急にやめることはできません。根気よくお子さんの習癖とお付き合いし徐々に減らしていくことがコツといえるでしょう。お母さんをはじめご家族が、気長に心に余裕を持って接していきましょう。