義歯(入れ歯)の手入れ法。長く使うコツは?

平成26年9月1日(月) 東愛知新聞掲載

歯が抜けた場所を補う一番簡単な方法は義歯、いわゆる床のある入れ歯です。みなさんの中にも、もう使っておられるかたもいることでしょう。たぶん使えるようになるには何回か入れ歯の調整をしたと思います。場合によっては落ち着くまでに時間がかかったり、つらい思いをされたかもしれません。
 ご自分にしっかりと合った入れ歯をずっと使い続けることができればいいのですが、不幸にも壊れてしまったり、また別の歯が抜けたりして作り直さなければならない場合もあります。
 では、どのようにしたら入れ歯を長持ちさせることができるでしょうか?そもそも入れ歯の材質はほとんどがプラスチックです。部分入れ歯なら歯にとめるバネがついている場合がありますし、一部の入れ歯では金属の床があることもありますが、大部分を占めるピンク色の床や人工の歯(食べ物を噛む部分)は、ほとんどがプラスチック製なので扱いによっては傷ついたり割れることがあります。極端に強すぎるちからはかけないほうがよろしいでしょう。
 お掃除の際でもブラシでやさしくこする程度にして下さい。歯みがき粉やクレンザーなどはプラスチックを傷つけてしまいます。また消毒目的で熱湯をかけるとプラスチックが変形するので避けて下さい。
 部分入れ歯ならご自分の歯である程度固定することができますが、その一方で合わない入れ歯はご自分の歯をダメにしてしまうといったこともおこります。入れ歯の出し入れの際、もしくは入れ歯のバネがかかる歯が浮いた感じがしたり痛むようであれば早めにかかりつけの歯科医院でみてもらいましょう。
 ごくたまに部分入れ歯を装着する際に口に放り込んで噛んでバネをはめ込むのを見かけますが、もし少しでも位置や向きがずれていたらと思うとこちらではヒヤッとしてしまいます。バネがかかる歯の損傷や入れ歯の床の縁で歯ぐきを痛める可能性が非常に高いので、必ず指でばねを歯にかけるようにして下さい。バネがかかる歯はかからない歯に比べてはるかに危険な状態にさらされています。無くなったら(抜けてしまったら)当然バネは効かなくなってしまいますし、代わりに隣の歯にバネをかけたら同じ運命をたどる可能性が高いです。実際このような例は多くみられ、製作者側としてはとても残念に思います。
 いろいろと注意していてもアゴの土手が痩せてくると入れ歯が合わなくなってしまいますが、床の裏側を補修して合わせることができる場合があります。
 長い間使っているとアゴの形も徐々に変化しますし、入れ歯もすり減ってきます。もしそのような変化があれば対応しますので、まずはかかりつけの歯科医院で診てもらいましょう。  
 どうか、皆さんの入れ歯がしっかりと長く使っていただけますように