前歯被せ物(冠)について。

平成26年10月6日(月) 東愛知新聞掲載

今回は、前歯の被せ物の話をしていきたいと思います。まず、前歯の被せ物をする原因として、虫歯、外傷による歯の破折、前歯の着色など、歯の大部分を補う必要がある場合に行います。  
 種類としてはまず、保険の範囲内でつくるものとしては前装金属冠(金属の被せ物の前面にレジン=プラスチックをつけたもの)があります。見た目は歯と同色に近い色ですが、数年すると色が変化してきます。また、硬さがあまりないので削れてきたりもします。  
 もう一つは保険外(自費)でつくるものがあります。種類としてはメタルボンド(金属の冠の前面に陶材=セラッミクをつけたもの)と、ジャケット冠(金属を使わず、すべてレジンやセラミックでつくったもの)があります。  
 それぞれ特徴があり、メタルボンドでは、内面が金属で裏打ちされているため十分な強度があります。また、表面がセラッミクでできているため長く変色しにくくなっています。しかし、内面が金属なので、ジャケット冠に比べ、光の透過性が劣る場合があります。歯周病や、年齢による、歯肉の退縮により歯茎との境目に金属による変色がみられることがあります。
 もう一つのジャケット冠は、硬質のプラスチックでできたものと、セラッミクでできたもの、その中間でできているハイブリッド冠があります。ジャケット冠では金属を使わない分、金属による変色がなく審美性に優れてはいますが、割れやすいという欠点があり、その分厚みをとるため歯の削る量も多くなります。場合によっては、神経をとる処置を必要とする場合もあります。また、歯ぎしりの強い人や、欠損が歯茎の下のほうまである人、歯の短い人などは、つくることができないこともあります。  
 材質によっての特徴は、プラスチックでは変色が起こりやすく、壊れやすい、削れやすいなどの欠点がありますが、一方セラッミクでできたものは、変色が起こりにくく、硬さも十分あります。その中間がハイブリッド冠ということになります。価格も性質が良い順と思ってもらえばよいと思います。
  この様に前歯の被せ物には、保険内、保険外のもの様々あります。詳しくは、かかりつけの歯科医院にて聞き、どれにするか選択してはいかがでしょうか。