10月20日 舌ブラシってなんですか?

平成26年10月20日(月) 東愛知新聞掲載

皆さんは、舌ブラシをご存じですか?
 その名の通り、舌をきれいに掃除する道具です。では、何をきれいに取り除くものなのでしょう。  
 舌苔(ぜったい)という言葉はどうでしょう?ほとんどの方が聞き慣れない言葉だと思います。歯垢は、歯の垢(あか)と書いて、シコウと読みます。これは、歯の表面に付着するバイ菌のことで、通常、歯ブラシできれいに落とします。  
 では、舌の汚れのことは、何と言うのでしょう。そうです、それが、舌の苔(こけ)と書いて舌苔(ぜったい)なのです。  
 舌苔とは、食物の残りカスや唾液の成分、細菌、微生物、剥離した舌の皮膚(舌のフケみたいなもの)などが堆積して苔状になったもので、通常は、特に自覚症状はありません。口の中の疾患や、摂食・嚥下障害(せっしょく・えんげしょうがい:食物をうまく口に取り込めない、うまくゴクンと飲み込めない)などで舌がうまく機能せず自浄作用が低下した時や、高血圧の治療薬剤、抗精神病薬、抗パーキンソン薬などの副作用により唾液がうまく出てこなくなり口の中が乾いた状態になった時、全身性の熱性疾患、消化器疾患、免疫力の低下などがある場合にも見られる時があります。
  舌苔があると、味覚をはじめとする感覚系にも悪影響を及ぼし、口の中の機能を低下させ、また、舌痛、舌の灼熱感、口臭の原因にもなります。  それを防ぎ舌をきれい掃除する道具が、舌ブラシなのです。  
 また、近年、日本人の死亡原因の第3位に肺炎が入ってきました。その肺炎の内に誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)というものがあります。  誤嚥性肺炎とは、口の中にいる細菌が誤って気管支の方に入って行き肺炎を起こす病気です。高齢による筋力の低下、脳血管疾患の後遺症、認知症などによりうまくゴクンと飲み込めなくなった方が罹りやすくなります。その予防として、口の中をきれいに保ち細菌が肺に入らないようにすることが大事です。そして、舌をきれいにするためには、舌ブラシが必要になってくるのです。  
 舌ブラシを使っての口腔ケアは、長生きの秘訣の一つになりますし、舌がきれいであれば食べ物の味もよりおいしく感じられ生き甲斐の一つにもなると思います。
 また、先程も書きましたが、舌苔は、口臭の原因にもなります。口の臭いが気になる方は、舌ブラシできれいにしてみてはいかがでしょうか。お近くの歯科医院にも置いてあると思いますので、一度かかりつけの歯科医院で聞いてみてはいかがでしょうか。