最近、イビキがうるさいと言われます。予防法は?

平成26年10月27日(月) 東愛知新聞掲載

まず、いびきとは、のどや鼻の中の粘膜が振動して出る異常な呼吸音のことです。基本的には仰向けに寝ているときに起こり、口蓋垂(いわゆるのどちんこ)や舌がのどの方へ落ち込むと起こりやすくなります。いびきは睡眠障害のひとつであり、これにより低呼吸となったり、舌等が気道を完全に塞ぎ、たびたび息が止まるために、眠りが浅くなり、しっかり寝ているはずなのに眠い、日中に眠気がでる、などの諸症状が出るのが睡眠時無呼吸症候群(閉塞性)です。ただ、いびきがすべて睡眠時無呼吸症候群によるものではありませんので、まずは、耳鼻咽喉科や睡眠障害を専門に診察している医師による検査が必要となります。簡易検査では検査機器を医療機関から借りて居宅で行うことも可能ではありますが、重症度を確定させるには、より精密なPSG(ポリソムノグラフィー)という入院して行う検査が必要になります。  
 その検査の中のAHI(一時間当たりの無呼吸・低呼吸発作の回数)というもの数値で重症度が決まり、5未満であれば正常、5〜15が軽度、15〜30が中等度、30より大きいと重度です。
 AHIが20以上であるとCPAP(シーパップ)という、睡眠時に鼻マスクを装着し、鼻から空気を送り込む装置を使う治療が健康保険の適応となります。20未満の場合は睡眠時に装着するマウスピースによる治療のみ保険診療が可能です。これは、下あごを前に突き出した状態で、上あごと下あごを固定したマウスピースをいれて寝るというものです。下あごを前に出すことによって、舌全体を前に出してのどに落ち込まないようにし、息の通る道をつくるというものです。これは、入れて寝るだけというお手軽なものではありますが、歯に乗せるものなので、総入れ歯や大きな入れ歯を入れられている方は安定しないため使いにくい、睡眠中あごが固定されるため、あごに負担がかかり、このマウスピースために顎関節症を引き起こすことがあり得る、口に物を入れっぱなしのため、それが気になってかえって眠れない等の欠点もあります。また、マウスピースは歯科医院でつくることになるのですが、健康保険が適用されるにあたっては、「医師により睡眠時無呼吸症候群の診断がなされており、医師からの、検査結果を含めたマウスピース作成依頼の紹介状を歯科医院に持参すること」が条件になっていますので、紹介状なしに、直接歯科医院を訪れていびき用のマウスピース作成を依頼されても、保険が使えない自由診療となりますのでご留意ください。
 いびきにお悩みの方は、ぜひ一度、睡眠障害の医師の診察や検査を受けられることをお勧めします。