歯磨きは、なぜ大事なのでしょう

平成26年12月1日(月) 東愛知新聞掲載

みなさん子供のころから「虫歯になるから歯を磨きなさい!」と言われながら育ってきたのではないでしょうか?では、なぜ歯を磨かないと虫歯になるのでしょう? 
 歯磨きの大きな効果の一つは歯垢(しこう)という歯の汚れを落とすことです。歯垢はバイ菌が自分の周りにネバネバの物質を作り出し集まりあって歯にこびりついているものです。食べかすではないのではっきりした形はなくて、まさに垢のように歯にこびりついています。なんと歯垢1mg(1/1000g)の中には1億個のバイ菌がいるといわれています。
 バイ菌は、エサになる糖分があると酸を作り出すので、そのために歯が融けて虫歯になってしまうのです。虫歯ができるためには、バイ菌とバイ菌のエサになる糖分があって、バイ菌が酸を作って歯を融かすための時間が必要なのです。人が食事を止めることはできないので、できるだけ口の中のバイ菌の数を減らそうというのが歯磨きなのです。「食べたら歯を磨こう!」というのはバイ菌が酸を作って歯が融ける前にバイ菌を減らそうということなのです。
 また、バイ菌の造り出す毒素は歯周病の原因になるし、口臭の原因の一つにもなります。歯磨きでバイ菌の数を減らすことは、これらの予防にもなるのです。歯周病は糖尿病などの全身疾患と関係があるということもわかっており、口の中のバイ菌がお年寄りの肺炎の原因となることもあります。歯磨きは全身の健康にも大切だといっても言い過ぎではないでしょう。
 さらに歯磨きには、歯石(歯肉を刺激して、炎症や出血を起こす原因となる。)が付くことを予防したり、食べ物由来の着色を落として歯を白くする効果も期待できます。
 ただし、間違った歯磨きをしていては、うまく汚れが落とせないだけではなく、歯肉を削ってしまい知覚過敏を起こしてしまうこともあります。ぜひ、かかりつけの歯医者さんで歯磨き指導を受けて、正しい効果的な歯磨きを身に着けてください。