頭痛、肩こりと歯の関連性について

平成27年4月6日(月) 東愛知新聞掲載

頭痛、肩こりと歯の関連性は歯の噛み合わせかもしれません。
 頭痛は不自然な咬み合わせにより、顎の周りの筋肉が異常に緊張してくると、筋肉が硬くなり血行が悪くなって筋肉痛となり頭痛が生じます。
 肩こりは頭痛と同じ原理で、顎から肩、首にかけて筋肉の緊張により血行障害が起きる事により生じます。
 このように不自然な噛み合わせによる筋肉の緊張により頭痛、肩こりが生じるのですが、どうして不自然な噛み合わせが生じるのでしょうか。
 本来、上下の歯は食物の咀嚼、食物の嚥下、会話する時だけ瞬間的に接触します。それ以外の時は1~2mmのすきまがあり、接触していないのが正常な状態です。以前よりこうした症状は歯ぎしりや食いしばりが原因として採り上げられてきましたが、近年これらとは違う無意識のうちの上下の歯の軽い接触をしている人が急増している事が分かりました。この症状が歯列接触癖(Tooth Contacting Habit=TCH)です。  
 考え事やテレビを見ている時、本を読んでいる時などに上下の歯を接触したままにしていると、たとえ強く噛んでいなくとも、上下の歯を軽く接触させただけで口を閉じる筋肉は働いてしまいます。上下の歯の接触時間が長くなると筋肉の緊張や疲労、顎関節への負担が増えます。  
 上下の歯が常に触れていると、口を閉じる筋肉のスイッチが常にオンになって鍛え続けられてしまいます。それにより口を開ける筋肉と閉じる筋肉のバランスが崩れてしまい顎が疲れ痛くなり、身体全体に刺激が伝わっていきます。その刺激がこめかみ伝われば頭痛、肩に伝われば肩の痛み、肩こりとなるのです。
 ストレスと関係して起こるので、心理的ストレス、気候などの環境的な変化によるストレスに呼応して症状も変化します。
 舌の縁に歯型がついている人、頬の内側に白い線のような盛り上がった痕がある人は噛み続けている証拠なので注意が必要です。  
 TCHは癖です。無意識のうちにしてしまうものです。改善法としては、している事に気が付いたら上下の歯をリラックして離すよう心掛ければ良いでしょう。  
 TCHがあっても頭痛や肩こりが無ければ気にする必要は無いと思います。ただ、頭痛や肩こりがあり、TCHと思われる癖が有り、改善法も功を奏しなければ、一度専門医に相談されたら良いかと思います。