海外で歯の治療を受けるときの注意点とは?

平成27年5月11日(月) 東愛知新聞掲載

海外生活の中で突然病気になったりケガをしてお医者さんに行く前に、
言葉が通じるかどうか、そして治療費がいくら掛かるかみなさん気になるのではないでしょうか。
海外での歯科治療は医療保険でカバーされないこともあり、かなり高額となります。おおよそ日本での歯の治療費の5倍や10倍も掛かるようです。
定期的に歯科健診を受けるだけでも100ドル以上かかり、虫歯の治療となると数百ドルから数千ドルが必要な場合があります。
これは保険制度の違いから起こる事です。日本では、歯科治療だけではなく、様々な医療費に国民健康保険や社会保険が適用され、70%は公費で負担されます。
そのため歯科治療でしたらどの医院でも保健点数により決まった料金となり、通常は数百円から数千円で収まることが多いでしょう。
海外の場合、その国の健康保険制度によって異なりますが、多くの国では一部の条件を満たす人以外、歯科治療費に健康保険は適用できません。
そのため歯科治療はすべて自費で支払うことになります。

それではどうすればこのような支出を抑える事がるのでしょうか?
まず、海外に一定期間居住される方は、民間保険に入られる方もいらっしゃると思います。
保険のプラン内容と通院する歯科医院によっては、加入者は歯科治療が保険適用になるという場合もあります。歯医者に行きたいけれど高いから行けないと思っているのであれば、一度保険のプラン内容を見直してみると良いかもしれません。
留学生は、強制的に留学生用の保険に加入していると思います。自分は虫歯になりやすい、など自覚している場合は、歯科治療もカバーされるプランに追加加入しておかれるのが良いでしょう。
仕事の都合などで一時的に海外に滞在している場合や、ワーキングホリデーで海外に行かれる方の多くは海外旅行保険に加入しているかと思います。その場合、歯科治療も保険適用になるのか確認しておきましょう。歯が突然痛くなった時のために、ある程度の歯科治療費の補償があるかもしれません。
日本の社会保険や国民健康保険に加入している場合、海外で受けた歯科治療費の一部還付が認められます。給付対象となるのは日本国内でも保険適用が認められる治療方法や材料になります。申請する場合、まず治療後に一旦治療費全額を支払い、その後請求手続きをすることになります。
申請の際に医師が記入した診療内容明細書および領収明細書などが必要となりますのでご注意下さい。

日本では、歯が痛かったり、何か問題があってから歯医者に行くことが多いのではないでしょうか。または少しくらい痛くても我慢の限界まで受診しないという人もいるかもしれません。
これは、社会保険により治療費の負担が少ないため、虫歯になって症状が悪化してから受診したとしても比較的気軽に歯科医院に通うことが出来るからかもしれません。
海外、特にアメリカに代表される欧米では、ムシ歯になったから歯科医院に行くのではなく、ムシ歯にならないよう予防のために歯科医院に行くという考えが定着しています。歯が悪くなってからの通院だと治療内容も大きく変わり、治療費も高額になってしまうと認識している人が多いからでしょう。
6ヶ月毎に健診とクリーニングを行い、定期的にレントゲンを撮るというのが当たり前になっており、健康な歯を保つための予防歯科が重要視されています。
小さな頃からシーラントや、フッ化物で歯の健康を守ることで、大きな治療をしなくていいように常に心がけている方が多いです。

日本から海外に行ことが決まってから多くの方は準備期間があると思います。日本にいる間にしっかりと歯科健診を行い、必要があれば治療をしてから海外に行かれる事をお勧めします。