ムシ歯を治すのに、なぜ何回も通わないといけないの?

平成27年5月18日(月) 東愛知新聞掲載

治療時間が短い」「一回で悪いところを全部治療してほしい」歯科治療ではそんな患者様の声を耳にします。
 実際の治療ではムシ歯だけでなく、歯周病などの治療が並行して行われることが多いので、治療回数は多くなる傾向があります。歯周病の治療は数本まとめて行われるのに対して、ムシ歯の治療は一本ずつ治療していくことが多いため、本数が増えればそれだけ回数が増えがちです。
 また、一本のムシ歯の状態、治療内容によっても回数は変わってきます。自覚症状がほとんどなく健診で発見されるような初期ムシ歯の場合は、悪いところを取り除いたあとに光で固まる樹脂を詰めるのが一般的で、その他の要望がなければ一回の来院で大丈夫です。ただ、ムシ歯の度合いが少し進んでいたり、はめ込み金属や被せもので治さなくてはならない場合には、歯の型を取ってそれにあうようなものを作製してから歯に接着するので二~三回は来院していただくことになります。神経に達するほどの深いムシ歯になってしまった場合や歯の根の奥にたまっている膿の治療となると、数回の治療で済むことはありません。歯の内部の神経部分の清掃・消毒をして症状が落ち着いてから、再度、埋めたり被せますので状態によっては治療開始から終了までに十回以上かかってしまうこともあります。
 どうしても「今日だけで終わらせてほしい」「短期間しか通院できない」「一回の来院で多くのムシ歯を治してほしい」などの希望がある場合には、かかりつけの歯医者に相談してみてください。一回の治療時間が長くなるとアゴが痛くなったり、身体的に疲労することがありますので注意が必要ですが、可能な範囲で対応してくれると思います。
 最後に治療回数が気になる方は、初診時または再診時にでも先生に確認することをおすすめします。ただし、後日痛みを出さないように慎重な治療をしたり、急性症状などにより当初の予定より長期化することもありますことをご理解ください。