平成23年に日本人の死因が、1位ガン、2位心疾患(心臓病)、3位肺炎になりました。歯との関係性は?

平成27年6月8日(月) 東愛知新聞掲載

死因の1位であるガンですが、最近歯周疾患のある方はガンのリスクが高くなると言われはじめています。また、がん患者の治療後の回復にお口のケアが大切なこともわかっています。
 2位の心疾患ですが、代表的なものが心筋梗塞です。冠動脈が血栓(血液の固まり)によって詰まることで、心臓に血液が送られなくなり、心筋が壊死する病気で、治療が遅れると死に至る恐ろしい病気です。
 動脈硬化が進んだ中高年に多くみられ、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどが危険因子に挙げられていますが、最近では、重度の歯周病にかかっていると心筋梗塞のリスクが高まるという研究発表が報告されています。死後に解剖した結果、心臓の血管内から本来あるはずのない歯周病菌が発見され、歯周病が原因の心筋梗塞が見つかったケースもあります。
 心臓の病気と歯周病は一見まったく関係がないように思えますが、歯周病が進行すると歯周病菌の一部が口腔内の傷から血液中に入りこむと、血管壁を傷つけたり、血小板に異常を来して血栓ができやすくなったりすることがわかっています。
 3位の肺炎はというとインフルエンザや風邪をこじらせて、と考えがちですが、大半は高齢者の誤嚥性肺炎とよばれるもので、飲食物が食道ではなく気管に入ることで口の中の細菌などが肺炎を引き起こすものです。
 また、あまり知られていませんが、不顕性誤嚥といって本人が気が付かないうちに口の中の少量の唾液や細菌が気管に入ってしまい肺炎を起こす場合があります。
 さらに最近はお口の中の細菌が全身に様々な影響をおよぼすことがわかってきました。むし歯や歯周病などのお口のトラブルは、命取りになることもあるのです。健康のため、日頃の口腔ケアをしっかりと行いましょう。