歯科衛生士による「歯科予防処置」

平成27年10月5日(月) 東愛知新聞掲載

歯科医師と共に歯科保健の分野で活躍している歯科衛生士は、歯科医療(診療)・保健(公衆衛生)・福祉(介護)などの現場で、専門職として多くの皆さんと携わっています。
 歯科衛生士の3大業務は、「歯科予防処置」・「歯科臨床補助」・「歯科保健指導」で、今回は「歯科予防処置」についてお話します。  
 「歯科予防処置」は、現代社会で人が生きていくために必要不可欠な食生活などに重要な役割を果たしています。
 健康維持という観点からも決して軽くみることができない処置です。
 現在、新型インフルエンザの予防対策として『うがい』と『手洗い』が大きく取り上げられていますが、なぜ『うがい』なのでしょうか?
 口(口腔)という器官は、「食べる」という大きな目的があることは皆さんご存じの通りですが、その際に体外からのいろんなものが侵入してきます。  人間の体の中も、外部から侵入できる数少ない部分であることが大きな特徴と言えます。
 体外からの侵入に対して、その備えを万全にしておく意味で口(口腔)や喉(のど)をうがいで洗浄することが、その機能を助ける上で重要になります。  
 当然のように、口の中が綺麗で健康にしておくことは、より一層それらの効果が発揮できるという訳です。  
 日頃から、確実な歯磨きの習慣で口の中を綺麗にすることはできますが、それでも尚、自分で確認することができない部分が汚れていたり、歯グキに炎症が発生することがあります。  
 これらを早期に発見して、口の中をさらに綺麗な状態にするための清掃方法や歯石や汚れを除去することで、歯周病の進行を止め、健全な歯肉に戻すことができます。  
 また、健診などで見つかった初期虫歯[C₀(完全にムシ歯になりきれていない状態)])に対して、その進行を防ぐために歯の溝の中に樹脂を流し込む処置など、口(口腔)が本来の機能を果たせるようにサポートすることが歯科衛生士による「歯科予防処置」というものなのです。  
 歯科衛生士による「歯科予防処置」は、現代の歯科医療の中にあって重要なポジションであることは言うまでもありませんが、それに留まらず社会全体から見ても、口(口腔)の中の健康を『歯科衛生士よる予防処置』で作り上げていることに、とても大きな意義があります