歯科衛生士の歯科保健指導

平成27年10月19日(月) 東愛知新聞掲載

歯科衛生士における三大業務のうち、「歯科予防処置」と「歯科臨床補助」については先週と先々週にお話をさせていただきました。  
 今回は、現在あらゆる医療の分野で欠かすことが出来ない≪予防≫。  その一翼を担う歯科衛生士に与えられた「歯科保健指導」についてお話したいと思います。  
 歯科における予防と言えば、ムシ歯や歯周病予防のための「歯磨き」・「ブラッシング」というキーワードを思い浮かべるはずです。
 「予防」=「歯磨き」・「ブラッシング」は、歯科における予防そのものです。  
 その中で、自分に適した歯ブラシの選び方、歯を磨く時の歯ブラシの動かし方や力加減、何時歯磨きをすると効果的なのか?どの位の時間磨けばいいのか?など、口の中(口腔)の状態や生活・職場などの環境が一人ひとり違うように、ブラッシングの方法もその方に合った的確なアドバイスをおこなって、口(口腔)の中の環境を改善し、いつまでも健康な歯が維持出来るようにサポ-トすることが『歯科衛生士の歯科保健指導』です。  いくら薬効の優れた歯磨き剤や使いやすい歯ブラシを使っていても、その効果が得られなければ、「良いものを使っている」ただの自己満足に終わってしまいます。  
 そうならないように、その効果を最大限に発揮できるようサポートすることが、歯科衛生士の役割です。  
 また、口(口腔)の中だけに留まらず、全身の栄養管理保健指導、運動不足や身体のズレ、さらに悪い姿勢などが原因する顎関節への異常を予防するための保健指導、若年者や高齢者におけるスポーツ人口の増加に対するスポーツ外傷予防への保健指導など、他にも様々な保健指導があります。  
 1日2回以上歯を磨く人が、口の中や食道がガンになる危険性は、1回の人より3割低いという研究データが愛知県がんセンター研究所から発表されました。また、新型インフルエンザの予防にも歯磨き(ブラッシング)は有効な予防ファクターであると言えます。  
 口の中(口腔)と全身との関わりがいかに深いかということがお解りになるかと思いますが、その重責を担うのが歯科衛生士に与えられた『歯科保健指導』です。  
 是非、歯科衛生士からの『歯科保健指導』に耳を傾けて下さい。 皆さまの生活の中で、口の中(口腔)や全身の健康に対するメッセージがたくさん発信されているはずです。