介護・福祉施設における歯科衛生士の役割

平成27年10月26日(月) 東愛知新聞掲載

現在、それぞれの現場で活躍している歯科衛生士には、歯科衛生士として与えられた三大業務である「歯科予防処置」・「歯科臨床補助」・「歯科保健指導」を基に、皆さんのお口のサポーターとして日々頑張っています。  
 皆さんは、やはり地域の歯科診療所で働いている歯科衛生士と接する機会が一番多いのではないかと思います。
 歯石を除去したり、歯科治療のお手伝い(介助)をしたり、ブラッシング指導や子供たちの歯に予防処置をしている姿などを見かけたことはありませんか?  
 その他では、行政の現場で、1歳6か月児健診・3歳児健診などを行っている母子保健センターや保健所等に勤務していたり、市民病院や民間の総合病院の歯科・歯科口腔外科でも、歯科衛生士と接しているはずです。  さらに最近では、介護保険法などの改定により福祉・介護の分野でも、歯科衛生士のニーズが高まってきました。  
 我が国は、世界のどこの国も体験したことのない少子高齢化社会、人生80年超時代を迎えました。  
 特に高齢者介護福祉施設等に入居されている多くの方は、身体機能の低下に加え、多くの場合摂食(食べる)・嚥下(飲み込む)障害など、何らかの口腔機能の低下が認められ、歯科衛生士による口腔ケアが必要とされています。  
 特に、高齢者の死亡率の半数を占める肺炎と感染症は、口の中や気道感染によるものが多く、抵抗力の低い高齢者の方々が集団で居住している施設では、インフルエンザやノロウイルス等の感染予防として口腔ケアは欠かすことのできないものになっています。  
 歯科衛生士の仕事は、口腔ケアを中心に、どの年代のステージにおいても歯と口腔の健康や管理(ブラッシングによる感染症や新たな病気[インフルエンザ等]の予防)や食生活(良く噛んで、脳も刺激され、消化も良くおいしく食べられて健康の維持ができる)、生活習慣等に欠かすことのできない幅の広い仕事です。  
 にもかかわらず、医療の現場で看護士が不足しているように、歯科医療の現場でも歯科衛生士不足は否めません。  
 超高齢化社会を迎え、口腔機能の重要性と共に、それを担う歯科衛生士の役割もとてつもなく大きく、歯科衛生士の需要は今後さらに医療・介護・福祉の分野で益々顕著になってくると思われます。  
 もっと多くの皆さまに歯科衛生士の仕事を理解していただき、共に歯科医療に貢献していただける方が一人でも増えるように期待してなりません 。