入れ歯安定剤は常用してもいいですか?

平成28年4月25日(月) 掲載

入れ歯を長く使っていると、少しづつ合わなくなってきます。
 これは、歯グキが痩せて、入れ歯との間にすき間ができ、入れ歯がズレて痛みが出たり、食べカスなどがすき間に入り込んで噛みにくくなったりします。
 また、入れ歯が傾ついてガタガタする、転覆する、上の総入れ歯が落ちるなどの、入れ歯の不具合が起こり始めます。
 また職業柄、力仕事が多い方や職人さんで噛むことが宿命づけられていると、 入れ歯の人工の歯が擦り減ったり、状況によっては歯グキに負担がかかるなどして、入れ歯が短期に合わなくなるなどの症状が起こりやすくなります。
 入れ歯が合わなくなると、噛むことは云うまでもありませんが、話すことや発音も相手に伝わらなくなったり、見た目までも阻害されます。
 何とかその場を凌ごうと、入れ歯の安定剤を使う方がおられますが、入れ歯の安定剤は、「鳥もち」のような粘着性があり、入れ歯や顎(あご)に貼り付きやすいので、ついつい重宝してしまいますが、短い旅行に出るときや人と会話をするなどの急場しのぎには有効ですが、常時使用することは余り得策ではありません。
 あくまでも応急的な対応です。
 入れ歯安定剤を長期間使用すると、入れ歯と安定剤の間に細菌が入り込み、細菌の住み家になってしまします。
 それによって、歯グキが腫れたり、口腔カンジダ症の原因にもなります。
 また、歯グキにも入れ歯安定剤が付着してきれいに取り除くことができなければ、同様に歯茎が腫れる原因になります。  
 また、入れ歯安定剤の量的な厚みから、入れ歯の噛み合わせが高くなったり、低くなったりとズレが生じて、顎(あご)の骨への負担も考えなければなりません。
 部分入れ歯の場合は、バネの内側に安定剤が入り込むと、歯に付着したりして、ブラッシングがやり辛くなったり、バネのかかっている歯がムシ歯になりやすくなります。
 さらに、入れ歯安定剤が付着した入れ歯を長期間使っていると、歯グキや噛み合わせのバランスが崩れることによる頭痛、肩こり、めまい、疲れの原因になったり、顎(あご)の関節にも負担がかかり、顎関節症や顎の神経痛などを引き起こすこともあります。
 入れ歯は、使っている人によって違いはありますが、ある年数がたつと歯グキの状態が変化(歯グキが痩せて)して、前述のように合わなくなることがあります。
 半年から1年に1回は、入れ歯も定期検診が必要です。
 「噛み合わせがおかしい」、「緩くなったような気がする」、「すぐに落ちてしまう」など、今までと同じように入れ歯を使うことができなくなり始めたら、迷わずにお近くの歯科医院で相談してみてください。
 噛み合わせを調整したり、入れ歯を修理したり、歯グキとのすき間を裏打ちしたりして、ピッタリと合った元通りの状態に回復すれば、キッチリと噛める入れ歯になるはずです。