指しゃぶりは何歳ごろまでに止めるのがいいですか?

平成28年5月23日(月) 掲載

子供の指しゃぶりは、乳幼児のいるご家族からのよくご質問を受けます。
 「いつまでに止めさせた方がいいのか?」、「指しゃぶりを止めさせる方法は?」、「歯並びが悪くなるのではと心配で・・・?」など・・・。
 今回は、指しゃぶりについてお話しします。  
 右の写真は、典型的な指しゃぶりの写真ですが、指しゃぶ りは、生後2~3カ月頃から始まることが多いようです。
 発生する頻度は、乳児期で70~90%とかなり高く、幼児   期になると20~45%と次第に減少します。
 3歳ごろまでは、乳幼児の生理的な現象とされていますが、  5~6歳を過ぎても継続していると、歯並びに影響が出てきます。

主なものには、上の左側の写真のような、奥歯はしっかり噛んでいるのに、前歯に指1本分のすき間が空いてしまった開咬(かいこう/前歯が噛まない歯並び)や、真ん中の写真のように、指をしゃぶっている時に、上の前歯が前に押し出され、下の前歯が奥に押されて発生する上顎前突(じょうがくぜんとつ/いわゆる出っ歯)、さらに奥歯の噛み合わせが横にずれることによって、上下前歯の中心にズレが生じる交差咬合(こうさこうごう)などが挙げられます。
 また、嚥下異常(えんげいじょう/飲み込み方の異常)や、口呼吸(くちこきゅう)を誘発することもあります。
 指しゃぶりは、おおむね4歳前後までに止めることができれば、歯並びや顎の成長に影響することはあまりないと考えられています。
 自然に指しゃぶりがなることが理想的ですが、4歳を過ぎた後に指しゃぶりを止めさせるためには、無理に止めさせようとすると、かえって逆効果になる場合が多いので、子供を褒めたり励ましたりしながら、指しゃぶりを止めようとする意欲を持たせることが大切です。
 ただ、比較的多いのは、幼児期の頑固な指しゃぶりが癖として残ってしまうことです。
 欲求不満、家庭環境、親子関係などによって指しゃぶりを続けてしまう子供もいるので、無理に止めさせるとまた別の異常行動を起こすことも考えられるので注意が必要です。
 最近では、指しゃぶり防止のための、爪に塗ると苦い味のするマニキュアなども市販されていますが、お悩みの方は、お近くの歯科医院で相談してみて下さい。
 指しゃぶりから引き起こされる悪い歯並びは、見た目だけでなく、子供の成長・発育を阻害して、健康維持や健康増進にも影響を及ぼします。
 たかが「指しゃぶり」と侮ってはいけません。
 子供たちの将来のためにも、励ましつつ、褒めながら指しゃぶりを止めさせるように努力してみて下さい。