親のムシ歯が、子供にうつるって本当ですか?

平成28年5月30日(月) 掲載

ムシ歯は、ムシ歯菌による感染と生活習慣によって発生すると考えられています。
 よって、ムシ歯は「うつる」病気なのです。
 つまり、ムシ歯菌の受け渡しがあれば「感染=うつる」ということが成立してしまいます。
 口の中には、だ液に混じって細菌がいっぱいいます。
 唾液は無色透明で、一見きれいな液体のようにみえますが、実は1ml中に1億もの細菌を含んでいます。
 その中には、ムシ歯菌や歯周病などの細菌も唾液に混じって存在し、その菌がだ液を通して、「人から人に感染する」のです。
 最も多いのが「親から子供へ感染」ですが、一緒に過ごす時間が多い「お母さんから子供へ」に大きな落とし穴があります。
 例えば、食事の時に小さなお子さんとお母さんの箸やスプーンなどの食器類を共有したり、噛み与えや可愛さのあまり口づけをしたり、顔を近づけて会話をしたりすることなど、日頃のスキンシップの中で知らず知らずのうちに唾液を介してムシ歯菌や歯周病菌が感染している可能性があるのです。
 ムシ歯菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中では、検出される菌ではありません。
 実際、親子から同じ菌の遺伝子が多数検出されたとの報告が多数あります。
 ムシ歯菌は、子供の口の中に入ると、歯の表面にこびりつき、うがいなどでは簡単にとれなくなります。
 ムシ歯菌は歯の生えていない赤ちゃんには感染しませんが、歯が生え始める生後6ヶ月ころから2歳くらいの間に感染すると言われています。
 しかし、ご安心ください。
 もし、子どもの口の中にムシ歯菌が入っても、大半は唾液と一緒に飲み込まれ、咽頭、食道を経由して胃の強酸によって死滅しますし、適度なスキンシップの後に歯磨きをきちんとすれば、感染の確率は低くなります。
 また、お父さんやお母さんが日頃から自分のお口の中を清潔に心がけるなどの生活習慣に留意して、歯科医院で定期的に歯のお掃除や健診を受けていれば、感染のリスクは減少します。
 日常生活において、「ムシ歯菌をうつさない!うつらない!!」という意識を持っていただくことが大切にです。
 最近の研究で、妊娠中から出産までの間、キシリトールを摂取することで、この感染率を低下させることがわかってきました。
 「ムシ歯の予防にキシリトール」。試してみるのもいかがでしょうか。