以前、歯医者さんに通っていたときに、レントゲンで親知らずが横に生えているといわれました。抜いた方がいいですか?

平成28年6月20日(月) 掲載

親知らず」は、永久歯の中で一番奥に、最も遅く生えてくる歯で、他の永久歯が殆ど中学生頃までに生えてくるのに対して、その後しばらくして、成人する頃から(かなり時期的に幅はありますが・・・)生えてきます。
 しかし、顎(あご)が小さかったり、歯並びが悪かったりすると、「親知らず」の生えるスペースがなくなり、まっすぐ生えず、顎(あご)の中で横向きの状態で存在していることがあります。
 このようなことは珍しいことではありません。
 今回のご質問ように、レントゲンで「親知らず」が、横向きに生えているということを知らされて、今のところ自覚症状がない状況だと思われます。
 「親すらず」を放置しておくと、どのような問題が起きてくるのかを説明します。
 まずは、「親知らず」が急に痛くなったり、腫れたりすることです。
 「親知らず」は専門用語で「智歯」といわれ、その周囲に炎症が発生することを「智歯周囲炎」と言います。
 不完全に生えていると、歯の頭の一部分または全部が歯グキに被われていて、そこにバイ菌が入り、歯磨きしても汚れが溜りやすく、歯グキや顎の骨に炎症を起こすことによって発生します。
 また、「親知らず」の周囲は不衛生になりやすいので、その手前の歯が歯周病やムシ歯になりやすく、治りにくくなります。 当然のことながら、口臭の原因にもなります。
  「親知らず」が横向きに生えていると、手前の歯の方向に頭を向けて生える ことが多く、歯は生えようと頭の方に動こうとしますので、手前の歯を前方や 上方に動かす力がかかります。
 その力によって、歯並びが変わってくることもあります。
 さらに、歯並びが変わることにより、噛み合わせが悪くなり、顎(あご)の関節 に負担がかかり、顎関節症(がくかんせつしょう)になることがあります。
 噛み合わせの変化や顎関節症より、頭痛(片頭痛)や肩こりを誘発することも考えられます。
 「智歯周囲炎」や「親知らず」の手前の歯が歯周病やムシ歯になることは、比較的頻度が高く、「歯並び」は気付いたときに「親知らず」を抜いても、矯正治療しないと治らない状態になってしまうこともあります。
 このように問題が発生してからでは遅いとも言えますので、気付いたら早期に、横を向いている「親知らず」は、抜歯することを勧めます。
 だだし、こうした横を向いている「親知らず」は、ほとんどの場合、骨の中に埋(う)まっていることが多く、抜歯の際に、歯グキを切開したり、骨を削ることも考えられるので、さまざまなリスクを伴うこともあります。
 術後に腫れたり、噛み合わせがしっくりこなかったり、正常に戻るのにも時間がかかったりもします。
 安易に考えず、よく説明を聞いてから、安心して「親知らず」を抜かれることをお勧めします。