だ液分泌はストレス発散に効果あり!

平成28年10月31日(月) 掲載

あまりにも悲しくて、もう立ち直れない・・と大泣きした後に、さっぱりした!という経験をお持ちの方は多いと思います。  
 特に女性はこの後に、妙に食欲が出たり・・・。
 これは、副腎で作られたストレスホルモンの1つ、コルチゾールという物質が涙と一緒に外に放出され、ストレスが弱まったためです。
 同様に、だ液の中にも同じ物質が含まれていて、だ液の分泌を促すことで、ストレスを発散する効果があります。
 だ液の分泌を促進させるには、食事をしたり、会話をすることが手っとり早い方法ですが、ストレスの解消法として、「おしゃべり」や「食べること」が有効であることもうなずけます。
 しっかり噛んで食べて、満腹中枢が満たされるのは、心地よいものです。  
 「咀嚼(そしゃく)=噛むこと」は、食べ物をかみ砕いて、だ液を分泌させるだけでなく、様々な効果が報告されています。
 その一つに 脳の血流を増加させることで、脳が活性化され、それが認知症予防になることが注目されています。
 たとえ入れ歯であっても、しっかり噛むことが出来ると、認知症が改善する傾向にあります。
 認知症で寝たきりの方に、入れ歯を作ってしっかり噛めるようになったケースで、半年後に車いすに乗って、仲間とおしゃべりするほど回復した症例を私自身も経験しています。
 現代人は忙しく、栄養面を満たそうとサプリメントに頼る傾向にありますが、 咀嚼がしっかり行われないと、自律神経失調症になるという報告もあります。
 若い頃の食生活の乱れが、中高年になった時に、高血圧や糖尿病といった生活習慣病へと移行し、脳の老化を防ぎ、あるいは自律神経を健全に保つためにも、良く噛んでだ液をたくさん出す習慣をつけることが大切です。
 ところで、最近の研究で、だ液から「疲れ」を測定することができるようになったことをご存じでしょうか。  
 「疲れ」をいうのは主観的な感覚で、捕えどころがありませんが、それが客観的に測定出来たら、過労死などという悲しい事態は避けられるはずです。
 体の中に潜伏しているヘルペスウィルスは、疲労が蓄積するとだ液の中で増加することが判ってきました。
 ヘルペスウィルスは体に溜まった疲労の原因物質を敏感に感知し、寄生した人間の危機を察知し、他の人間に乗り移るために、だ液中に出てくるというわけです。
 数年後には、だ液中のウィルス量で、体に蓄積した疲労を簡単に測定できるようになるそうです。
 日常的にストレスを緩和する方法として、ガムを噛むことは、食事に匹敵するくらいだ液を分泌させます。
 仕事の合間の息抜きに、ガムを噛んでだ液を分泌させ、ストレス物質を放出すれば、疲れた脳へ血液を送って活性化することで、仕事能率のアップにつながるのではないでしょうか。