近代的な歯ブラシを使いこなすには

平成28年11月7日(月) 掲載

日常生活において、口の中のケアは「歯磨き」です。
 歯磨きはムシ歯や歯周病を予防し、正しく行うことにより軽度な歯肉炎は治すことができます。
 最近、「電動歯ブラシはよいのでしょうか?」と質問されることが多いので、少し説明させていただきます。
 『電動歯ブラシ』は、毛先の動き方(運動様式)により多くの種類があります。
 運動様式は、偏心運動、水平運動、回転運動、振動運動、音波運動など、2つ以上の組み合わせで構成されています。
 電動歯ブラシの効果としては、手用の歯ブラシに比べて高いプラーク(歯垢)除去効果、ステイン除去効果、歯周病予防など多くの報告があります。  
 しかし、口腔全体からみた部位(部分)別、歯面(歯の噛む面・頬や唇側の面・内側の面など)別、一人ひとりの使用方法にかなりのばらつきが見られます。
 電動歯ブラシは、手用歯ブラシでプラークコントロール(歯垢を減らすこと)がなかなか上達しない人、歯ブラシで歯を磨くことが治療につながるという意識をもつことができない人、目新しい方法を追う人などには非常に有用ですが、歯面に当てていればプラークが除去できるという安易さは慎むべきです。
 また、プラーク除去効果は、使用者によって大きく左右されることを認識して使用することが重要です。
 数多くの電動歯ブラシが開発される中で、最近は音波による超微細振動を利用した電動歯ブラシ『音波歯ブラシ』も普及するようになりました。  音波歯ブラシは、毎分30,000サイクル以上(手用歯ブラシの約150倍)の超微振動により生じる微小な泡がキャビテーション(液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理的現象)効果を起こし、水を介して音波 エネルギーとして歯面に伝わることにより、毛先の到達しにくい部位でもプラークの除去効果が得られます。
 また音波による振動は、プラークを破壊することで、歯周ポケット(歯と歯ぐきのすき間)内の細菌叢に対して除去、抑制の効果が見られます。
 最後に、ノズルの先から噴出するジェット水流により、歯と歯の間、歯周ポケット内の食べ物の残りかすや細菌を取り除く『ウォーターピック』というものがあります。
 歯ブラシによる歯肉縁下プラーク(歯と歯グキのすき間の歯についている歯垢)の除去は、歯周ポケット1~2ミリ程度が限界といわれています。  それ以上になると、歯ブラシでは十分に到達できず、プラークの除去が困難といわれています。
 そこで、歯ブラシの到達が困難な深い歯周ポケットや歯と歯の間の隣接面に対しては、ウォーターピックの水流による洗浄を行い、プラークを除去、抑制する方法が用いられています。
 また、薬用洗口液を使用することにより効果を高めることができます。 皆さんが使用されている高価な電動歯ブラシでプラークコントロールを行う場合には、口腔内への電動歯ブラシのアクセスの方法、電動歯ブラシの形態、歯面の当て方などが重要なファクターになり、個々のお口の状況に適していなければ、ただの銭失いになってしまいます。 電動歯ブラシを有効的に利用するためにも、かかりつけの歯科医院で歯磨きチェックを確認してみて下さい。