幼児の上の唇(クチビル)の中央部に、筋肉のスジのようなものがくっ付いていますが、大丈夫ですか?

平成28年12月26日(月) 掲載

これは、上唇小帯(じょうしんしょうたい)と呼ばれているもので、大人にも子供にもあります。
 乳・幼児期、特に2歳以前の上唇小帯は、太くて目につき、上の前歯の真ん中に割って入るように発達している場合が多く見られます。
 上唇小帯は成長と共に徐々に細くなり、付着位置も変化してきます。
  稀ですが、小学生頃になってもあまり付着位置が変わらない場合などは、上の前歯の中央部の歯と歯の間に隙間(すきま)が残ったりするので、上唇小体を切除する簡単な手術が必要となります。
 下の写真は2歳児の上唇小帯び写真ですが、この状態は正常です。
 もちろんこの年齢で上唇小帯が発達していないお子さんもいます。

しかし、成人の上唇小帯を見慣れていると、写真のように太い乳幼児期の上唇小帯が異常に思えるのも無理はありません。
 将来的に、歯並びの善し悪しを考えれば、早期発見に越したことはありませんが、乳幼児期の上唇小帯は太くても異常ではなく、時間の経過と共に自然治癒する場合が多いのです。
 先日も、1歳4ヶ月のお子さんとお母さんが相談にみえました。
 来院前に母親仲間に、「太いので切ったほうがいいかもしれない。将来、すきっ歯になるよ!」と言われ、「小さな子供にメスをいれるのは・・・」と、心配そうな気配でしたが、お口の中を確認したところ、通常の上唇小帯の太いタイプのもので、別段問題はありません。
 実際、幼少期で早期に切除が必要になる場合は、ごく稀です。
 永久歯が生える前のお子さんについて殆どの場合、上唇小帯の切除は必要なく、経過を観察するだけで良いということを、子育て中の保護者の皆さまに知っておいていただきたいと思います。
 すでに、永久歯に生え変わってしまって、歯と歯の間に隙間(すきま)があり、筋肉のようなスジが存在している場合には、上唇小帯切除の対象となる場合があります。
 このような場合は、速やかにかかりつけの歯科医院へ受診して下さい。
 それから、永久歯が生え揃うまでの経過が、とても重要になります。