歯周病の発作

平成29年3月13日(月) 掲載

歯周病は歯そのものの病気ではありません。
 歯を支えている歯周組織(歯グキや歯槽骨および歯と歯槽骨を結びつけている歯根膜)が破壊されて、歯の機能を侵す病気です。
 これらの変化の多くは,初めの内は痛みなどの自覚症状がなく、多くの方はかなり病状が進行してから異常に気がつくことが多いようです。
 歯周病は、「歯肉炎と歯周炎(歯槽のうろう)」を総称したものですが、歯肉炎を経て歯周炎へと進み、さらに歯周炎は、「軽度・中等度・重度」の3段階に分けられます。
 歯肉炎は、ただ単に歯グキに炎症が起こり、歯肉が腫(は)れたり、歯を磨いたときに出血したりしますが、歯槽骨に異常はなく、痛みはほとんどありません。
 歯肉炎が進むと、軽度の歯周炎に移行して、歯と歯グキのすき間の接着がはがれ、歯周ポケット(歯と歯グキのすき間)が深くなり、歯槽骨が溶け始めます。
 軽度から中等度の歯周炎に移行すると、歯槽骨がさらに溶け、歯グキが短縮して歯が伸びたように見えたり、歯が前後左右に揺れ始めます。
 ときどき歯周病菌が歯周ポケットから組織の深部に侵入し、増殖することによって「歯周病の急性発作(きゅうせいほっさ)」を起こし、噛むことも出来す、ひどく腫れ、痛みや出血さらに膿(ウミ)が出ることがあります。
 重度の歯周炎は、歯槽骨がほとんどなくなってしまい、歯のぐらつきが前後・左右・上下にひどくなり、歯にムシ歯がなくても、歯としての機能を失い、治療する手立てがありません。
 「歯周病の急性発作(きゅうせいほっさ)」による腫(は)れや痛みは、膿(ウミ)が排出されることによって2~3日でおさまりますが、歯周炎が治ったわけではありません。
 歯周炎の慢性的な炎症は継続していて、歯グキからの出血や腫(は)れ、歯槽骨も少しずつ減り続け、歯と歯槽骨を接着させている歯根膜も緩んだり、破壊されていきます。
 過労や風邪などにより抵抗力が低下している時や睡眠不足の時になどに、「歯周病の急性発作(きいせいほっさ)」は起こりやすく、また歯周炎の病状が進むにつれ、急性発作が発生する頻度が高くなります。  歯周病、特に「歯周病の急性発作(きゅうせいほっさ)」は口の中だけの問題ではなく全身に悪い影響を与えかねません。
 歯周病の病状改善と共に、「歯周病の急性発作(きゅうせいほっさ)」を起こさないようなお口の中の環境を改善するために、早期に歯周病の治療を受けられることをお勧めします。