糖尿病と歯科との意外!?な関係

平成29年6月5日(月) 掲載

血液中の血糖値が慢性的に上がってしまう「糖尿病」。
 一見歯科とは関係なさそうに思えますが、炎症が起きやすかったり、傷が治りにくかったりするため、治療を受ける際にいくつか知っておいていただきたいことがあります。
 全身疾患である糖尿病が、歯科治療にとって不利な条件になってしまうということは、意外と知られていないかもしれません。
 ましてや、お口の中の出来事が、全身にどのように影響するのかまで、あまり意識していないかもしれませんが、実際には関係が大ありなのです。
 糖尿病になると、すり傷や切り傷が治りにくなり、傷口が膿みやすくなります。  たとえば歯を抜いたり、歯グキを切って治療をする際、治療後の傷口が治りにくく、感染をおこしやすいため、健康な方への治療と比べても特別な配慮が必要となります。
 また、糖尿病の認識がない方や、血糖値をコントロールする治療を受けていなかったり、血糖値のコントロールがうまくいっていない場合、合併症を伴っていることがあったりすると、健康な方にとってはたいしたことのない治療でも、糖尿病の方にとっては、ハードルの大変高い治療になり、総合病院の口腔外科を紹介することになる場合もあります。
 糖尿病で細胞が飢餓状態となって、血液の流れが悪くなると、細胞が酸素不足になってしまい、これによって歯周病を悪化させる原因になります。  糖尿病の方は、炎症が広がりやすいため、歯周病にかかりやすく、しかも治りにくいのが特徴です。
 歯周病に気づいた時には、すでに悪化していて、「歯を失うことになってしまった!」ということも少なくありません。
 糖尿病も歯周病も初期は自覚症状がなく、いつの間にか進行してしまっていて、気づくのが手遅れになりやすいやっかいな病気です。
 自分では気づきにくいからこそ、「自分の体は健康だ!自分の歯は健康だ!」と思っている時に、定期的に健診を受けることや、少しでも何か気になることがある時には、早めに受診することがとても重要になります。
 歯周病においては、歯と歯グキのすき間・歯周ポケットが大きく(深く)なり、歯ブラシの毛先も届かなくなると、汚れが取りきれなくなって、定期的にプロの手助けを借りて口の中のケア(口腔ケア)することがどうしても必要になってきます。
 また、糖尿病が歯周病を悪化させるだけでなく、逆に、歯周病のせいで糖尿病が悪化するということも判ってきました。
 歯周病と糖尿病はお互いに影響を及ぼしあって進行する病気です。
 炎症の起きた歯グキから、いつの間にか血管に入り込んだ歯周病菌が、全身を巡って悪さをしていると考えられています。
 どうやら「歯周病になると糖尿病が悪くなる」という関係が現在の指標です。
 糖尿病のほかにも、動脈硬化や心筋梗塞、肺炎、低体重児出産などにも歯周病が影響していることが判ってきました。
 日ごろから丁寧に歯磨きを行うことで、感染を予防することができます。
 体の健康、お口の健康のためにも、毎日の歯磨きと定期健診が重要だということを、忘れないで下さい!