歯科衛生士がサポートする「一生自分の歯で噛める人生」
その3

平成29年7月17日(月) 掲載

これまで2週にわたって歯科衛生士という職業の概要とその重要性をお話ししてきました。今後加速する超高齢化社会においては歯科衛生士の需要はますます高まるでしょう。なぜなら高齢者の人口が増加し、高齢者一人が有する平均歯数も増加している状況では当然ケアすべき総歯数は増加しますし、自分の歯を多数有する高齢者にもやがて歯科医院へ通院することやブラッシングのようなセルフケアが困難になる時が訪れるからです。即ち高齢者や要介護状態の患者さんのお口の健康をどう守るかが大きな課題となるのです。すでに病院や介護施設で活躍している歯科衛生士もいますが、それに対応できる人数にはまだ到底及びませんし、在宅の要介護者とどのように関わってゆくのかも今後の課題です。しかし歯科衛生士が関与しない今後の歯科医療、要介護者の口腔ケアはあり得ません。
 さらに先週この欄でお話ししたように、近年糖尿病や動脈硬化などの全身疾患と歯周病の関係が明らかになったり、健康寿命と残存歯数の因果関係が明らかになったりとお口の健康が全身の健康と深くかかわっていることが分かってきました。食物による窒息死も咀嚼機能と多いに関係があり、高齢者の死因の上位を占める誤嚥性肺炎の予防も口腔ケアが欠かせません。現在胃ろうや高カロリー輸液を余儀なくされている高齢者の摂食・嚥下機能のリハビリに歯科衛生士が積極的に関与することも期待されるところです。
 周術期(全身麻酔手術前後)の口腔ケアも保険導入され、医科でも歯科と連携したお口の健康維持の大切さが再認識されています。もはや歯科衛生士はお口の健康だけにとどまらず、全身的健康にも深く係る重要な医療系専門職と言えるのです。増大し続ける国民医療費も歯科衛生士のさらなる増加、活躍で削減できるはずです。なにより一生自分の歯でおいしく食べられる喜びは人間の幸せや尊厳の根底をなすものです。
 全国的に見て現在も歯科衛生士は慢性的に不足しているので、今後見込まれる需要を満たすには到底及びません。そこで開校以来千名を超える卒業生を送り出している豊橋歯科衛生士学校が期待するのは、現在結婚や子育てで離職している歯科衛生士の現場復帰です。フルタイムで常勤として働くのは無理でも、時間的に融通が利くパートなら現役復帰が可能な場合もあるのではないでしょうか。豊橋市歯科医師会では離職している歯科衛生士に復職を考えてもらうプログラムも検討しています。また卒業後にも欠かせない研修会や、ホームカミングデイも企画し歯科衛生士を全力でサポートしています。歯科衛生士という国家資格を自らのライフステージに合わせて生かしていただきたいと願っています。
 歯科衛生士という職業をもっと身近に知っていただくため、豊橋歯科衛生士専門学校では7月20日、7月27日、8月24日にオープンキャンパスを開催します。将来の進路に迷っている女性に是非参加してほしいと思っています。歯科衛生士という職業の将来性、やりがい、魅力をご理解いただけると確信しています。