スポーツドリンクにご用心!!

平成29年8月7日(月) 掲載

1980年に国産初のスポーツドリンクが発売されて以来、現在300種類以上のスポーツドリンクが各社から発売されています。各種商品のコンセプトもさまざまで、「水分ミネラルの補給」、「体脂肪の消化」、「運動時の疲労軽減」など、目的に合わせたスポーツドリンクが開発され、その範囲は多様化しています。これらは、効率よく水分を補給させ、なおかつ身体に負担をかけないよう考慮されているほか、スポーツの際に失われがちなカリウム、ナトリウムイオンと言った電解質やマグネシウム、カルシウムと言ったミネラルを含んでいます。また生理食塩水に近い浸透圧で、胃腸に負担をかけないよう配慮され、運動時の筋肉中に蓄積される乳酸の分解を助け、回復を促すとされるクエン酸や疲労回復の際に最も効率のよいエネルギー源であるブドウ糖やショ糖を含んでいます。しかし、これらのスポーツドリンクを誤った飲み方をしていると、意外な落とし穴があり、注意が必要となります。スポーツドリンクはあくまでも、スポーツや重労働時における発汗を想定して作られているため、一般の消費者が過剰な期待を抱いて常用したりすると、身体に問題を起こす危険性があります。テレビや雑誌などでは、熱中症対策としてスポーツドリンクなどの飲用が取り挙げていますが、日常生活においてこれらを飲料水の代わりに多量に摂取した場合は、俗にペットボトル症候群と呼ばれる「急性糖尿病」を発症する恐れがあるほか、スポーツドリンクに含まれる糖分が多いため、肥満やムシ歯の原因になる可能性があります。例えば、スポーツドリンク1本(500ml)のペットボトル中に、30gの砂糖が入っているものもあります。この分量は、激しいスポーツをしたときなどに、1時間当たり30~60グラムの糖質を摂取することによって、血糖値を維持し、疲労を防ぐために必要な量です。  
あくまでもスポーツや重労働をしたときに摂取するに適した分量であって、それ以外のときに摂取すると過剰な分量となります。砂糖30gは、スティックシュガー10本分、角砂糖で約8個、それを使ったお菓子で考えるとショートケーキ100g、大福餅だと2個半、ホットケーキ2枚分に相当します。スポーツドリンクを1本飲むことは、『おやつ』を食べたのと同じだけの砂糖を摂取していることになります。我々歯医者に言わせると、「食べた後(飲んだ後)には歯磨きをしてください」と言わなくてはならないくらいの砂糖の量になります。また、スポーツドリンクをのどを潤すために日常的にチョビチョビ飲むことは、1日中アメを舐めているのと同じような状態になり、これはムシ歯菌にエサを与え続けていることと同じで、当然ながらムシ歯なるリスクが高くなることを示しています。「液体だからいいだろう」と思われる節もありますが、液体でも固形物でも同じだけの砂糖が入っていれば、ムシ歯になる危険性は同じです。スポーツドリンク本来の目的から逸脱して、日常生活の上で常用するような間違った飲み方や過剰に摂取するようなことは、自分の体や歯を守るためにも注意が必要です。