「口腔がん」ってどんな病気?

平成29年9月25日(月) 掲載

口腔がん」とは、口の中にできるがんの総称です。できる場所は舌および舌の下・歯グキ・頬(ほほ)の粘膜・くちびる・上あごなどにできます。 日本における「口腔がん」の大部分は舌がんで、舌の下や歯グキにできるがんなどがそれに続きます。内臓などにできるがんと違って、 「口腔がん」の発生頻度はがん全体の約1~3%程度で、あまり知られていないこともありますが、口の中は直接見ることができ、初期の段階で発見しやすいはずにもかかわらず、 進行するまで放置されてしまうケースも多く、「口腔がん」で亡くなる方もおられます。「口腔がん」は、初期の段階で発見できれば、5年生存率は90%を超える報告もあり、 障害を残さず治療できる可能性が高いのですが、進行してしまうと治療後も食事や会話に支障をきたすことが多く、5年生存率も50~80%と低下します。進行した場合、舌や舌の下にできるがんには、 リンパなどに転移することが多く、生存率も半減するといわれています。遠隔転移は比較的少ないのですが、もし肺や骨に転移した場合は予後が悪く、治療後は医科と連携を取り、 定期的な通院が必要となります。「口腔がん」の原因として、タバコやお酒などが挙げられます。 たばこにはニコチン・タールなど含まれる多数の発癌性物質が「口腔がん」に限らず様々ながんの原因となっています。 特に、若いうちから長期間にわたって喫煙している方は、「口腔がん」への危険度がとても高くなりますが、禁煙によって発がん性物質の摂取を止めることで、がん発症の危険性や死亡率は減少します。 特にタバコとお酒の両方に習慣性がある場合は、「口腔がん」の発生率が高くなりますので注意が必要です。ムシ歯や合わない入れ歯・詰め物などによって、 口の中の粘膜に継続的に刺激が加わっている場合も「口腔がん(特に舌がん)」の原因になると指摘されています。舌がんが発生しやすい部分は、舌の側面で、 若い人にも発生します。初期症状は、舌が赤く変色する「前がん症状の紅板(こうばん)症」や白く変色したり、表面が硬くなったり、しこりができたりします。 触診、視診などでも発見できますが、がんとよく似た症状の白斑症(はくはんしょう=白く変色すること)や口内炎・爛(ただ)れなどと類似しているので、 「口腔がん」とは思わずに初期症状を見逃してしまうことがあります。  正確な診断には病理検査が必要となります。「口腔がん」の初期症状で最も多いのは「痛み」で、 その他にしこり・腫(は)れ・ただれ・出血・歯の動揺・口臭などがあります。 普段の生活の中でできる「口腔がん」の予防方法には次のようなものがあります。   前述しましたが、タバコを吸わない、お酒も控えめにして、口の中は常に清潔に、 舌や歯グキ・頬の粘膜にダメージを与えるようなムシ歯や歯周病は早めに治療する ことが大切です。 「口腔がん」の治療には、手術・放射線治療・化学療法などが挙げられ、それらを併用したり、腫瘍部位や病期(ステージ)などに応じて治療が進められます。
 地域や病院の形態などで治療方法は若干異なりますが、歯科口腔外科医(歯科医師)や外科医、耳鼻咽喉科医、放射線科医、形成外科医などが協力しあって診療に当たることになります。 「口腔がん」は早期発見・早期治療が不可欠です。かかりつけ歯科医院での定期健診や歯科治療後の継続的なメインテナンスがキーポイントになります。