口の中が乾燥します・・・ドライマウス

平成29年10月2日(月) 掲載

ドライマウス」という病名をご存知でしょうか。 一体はどんな病気なのでしょうか?  
「ドライ=乾燥」、「マウス=口」です。  
 「お口の中が乾燥する」こと、すなわち「お口の中が乾燥して渇いてしまう」病気で、 だ液の分泌量が低下することによって起こります。その原因には、
①口が渇く作用(副作用)をもった薬を飲んでいる
②年齢(加齢)によるだ液分泌量の低下
③精神的な緊張
④口呼吸
⑤糖尿病、腎臓病、肝臓病、リウマチ、シェーグレンなどの自己免疫疾患
⑥放射線治療、骨髄移植
 など様々です。ヒトのだ液の分泌量は一定ではなく、日・時間によって異なったり、体調により多く出たり、少なくなることがあります。 だ液が少ない時、特に起きたばかりの時や食間、空腹時などに口臭を強く感じるのもその性です。もし、「ドライマウス」を疑うとしたらどんな症状が出てくるでしょうか?一番判りやすい症状は「口が渇く」ことですが、その他に(口が乾いて)話しにくい、食事の時に食べ物を飲み込むために水分が必要、夜中に水を飲むために起きることが多くなった、舌にひび割れができた、口角炎やくちびるが乾燥して荒れやすくなったなどが挙げられ、もしこのような症状を感じたら、早めに歯科医院や専門医に相談することをお勧めします。 歯科においても「ドライマウス」によって、お口の中が乾燥すると、ムシ歯になりやすく、細菌も増えて歯周病や口臭の原因になります。ムシ歯との関係においては、初期のムシ歯に対して、だ液中の成分であるカルシウムやリンによる再石灰化(歯の結晶構造を直す)を促進し、ムシ歯を治してくれますが、だ液の量が少ないとムシ歯が進行しやすい環境になり、大きなムシ歯になる危険率が高くなります。歯周病においては、だ液により歯周病菌に対する抗菌・殺菌といった作用があり、歯周病を抑制する効果が期待できますが、歯周病が進行している場合やだ液の分泌量が少ないとあまり期待できません。口臭に対しても8割以上の原因は、お口の中の乾燥や舌の汚れ、歯周病によるものですが、だ液のもつ自浄作用や抗菌・殺菌作用などにより改善できると言われています。また、義歯(入れ歯)の維持や安定にも、だ液の粘着力や接着力が役立っています。 「ドライマウス」への対処法としては、保湿剤(人工だ液)を使う方法や唾液腺、お口の中の粘膜へのマッサージ、念入りな歯磨き、空腹時にはティータイムなどで水分補給をすることが有効です。また、他科で現在処方されている薬により、口の中が乾燥する作用があるかもしれませんので、主治医と相談してみて下さい。 日常はあまり意識していないだ液ですが、「ドライマウス」による健康への影響は図り知れないものがあります。だ液をよく分泌するにも、健康な歯や歯グキで、ゆっくりとよく噛んで唾液腺を刺激することが大切です。