喫煙とムシ歯・歯周病の関係

平成29年10月23日(月) 掲載

健康増進法が施行されて20年以上が経過しました。 喫煙、分煙、禁煙などの分別が取られるようになり、街ぐるみで推進しているところでは、 街全体が禁煙エリアに指定されたり、歩きタバコに罰金を科したり、喫煙エリアを設けたり、 この20年余りでタバコに対する概念も随分変わってきました。そこで今回は、 タバコがムシ歯と歯周病に与える影響についてお話します。 タバコの害を語る時には、喫煙(タバコを吸う人)とタバコは吸わないが家族や周囲がタバコを吸った煙による受動喫煙があります。 喫煙されている方では、タバコに含まれるニコチンやタールの成分がヤニとなって、 歯に付着して汚れが目立つようになります。それによって、歯の根元のあたりにムシ歯ができやすくなります。 受動喫煙では、副流煙(タバコの煙)により長期間煙を吸うことなどにより、タバコを吸わない方にも、 やはりムシ歯になりやすい状況になる可能性があります。 喫煙者とその家族には、非喫煙者とその家族より多くムシ歯がみられたという報告もあります。 タバコと歯周病(歯槽のうろう)との関係では、口の中がタバコの煙で燻(いぶ)すようなものなので、 煙に含まれる有害物質(ニコチン、タールなど)が直接に害を与え、歯周病を進行・悪化させます。 タール成分は、前述したようにムシ歯の原因となる歯垢(プラーク)や歯石が付きやすくなり、 ニコチン成分は歯グキの血管が細くなり、血流障害を引き起こします。さらに、喫煙により白血球が増加して、 歯周病の炎症性が強くなり、健康な歯グキ維持する細胞へコラーゲンが行き届かなくなりますし、 歯グキへメラニン色素の沈着(黒ずんだ歯グキ)や口臭の原因にもなります。当然なことですが、
歯周病の治療中の方においては、治りが悪くなります。受動喫煙においても、 ムシ歯と同様に副流煙を吸い込むことで、程度は異なりますが影響があるという報告があります。 タバコにより歯や歯グキへの悪影響があることが明確です。喫煙者の方でも、 歯磨き習慣、生活習慣の改善、間食も含めた食生活を健全化させることで、 歯と歯グキの健康を保つことはできますが、出来ることなら禁煙されることが望ましいと思います。 喫煙は良い習慣とは言えませんが、愛煙家の方は勿論ですが、家族や周囲の方々も、今一度自分の歯や歯グキをよく観察してみてください。歯についたヤニや歯グキの黒ずみが気になるようでしたら、一度お近くの歯科医院で相談されることをお勧めします。