自分の歯で生活することの価値、そのために今出来ること!

平成30年6月25日(月) 掲載

8020という数字を聞いたことがあると思います。
 「80歳で20本以上の歯を残すこと」を目指そうとして提案された数字です。
 20本という本数は、入れ歯を使わず自分の歯で暮らせる最小の本数といわれ、我々歯科医が日常の診療で患者さんの口の中を診ていても、またいろいろな研究結果を見てみても、一つの目安として重要だなと感じています。
 歯が残ることは、老後の生活の満足感、幸福感にとても大きな影響があるという調査結果があります。
 ある雑誌の高齢者へのアンケートで、「今までの生活で後悔することは?」というものがありましたが、「定期的に歯のケアをしておけばよかった!」というものが上位にランクされていました。
 また、歯がたくさん残っていることは、全身の健康にも関係していて、歯が残っていない方は残っている方よりも生涯を通じて医療費を多く支払っていることも判っています。
 つまり、歯が少ない程、病気がちな人生になるということのようです。
 高齢になればなる程、歯が残っている本数が多い方がよいことは明らかなようですが、ではどのような方が多くの歯を残しているのでしょうか?
 歯が多く残っている方の特徴は、かかりつけ歯科医をもっていて、定期的に歯医者さんに通っていたというデータがあります。
 歯を失う原因の多くはムシ歯と歯周病ですが、それらは適切な管理とケアを行うことでかなり防ぐことができることが判っています。
 殆どの方は、歯医者には出来れば行きたくないところだと思いますし、日々の忙しい生活の中で歯科医院に行く時間を作るのも大変です。
 気持ちは分かりますが、少しずつ先延ばしすることの結果、年をとってから厄介な状態になり、結局あとで大変な思いをされているように思います。
 実のところ、歯科の病気は自覚症状の有無だけでは判断できないことが多く、痛くないから「自分は健康だ!」と思ってみえる方でも、すでに歯の病気が進行しているあることがあります。
 だからこそ、自分では「全く問題ない!」と思っている時にでも、定期的な歯科健診が必要とされる訳です。
 ほんの小さなムシ歯でも、歯磨きをすると出血する程度でも、早期発見・早期治療が大切です。
 将来の大きな違いは、今のほんの僅かな習慣の違いであったりもします。  
 何もなくてもお口のケアをしに歯医者さんに行くことが当たり前の感覚となることで、日本人のお口の状況がよくなり、健康で幸せな人生を過ごす方が増えることを願ってやみません。