歯を抜かなければならない時は、どんな時?

平成30年10月15日(月) 掲載

歯がなくなる時は、グラグラになり自然に歯が抜けるか、急激な力が歯に加わり抜けるか、歯科医院で治療の末に歯を抜く(抜歯)ことが多いかと思います。
 元々、歯は使えば使うほど摩耗(咬耗)し、すり減ってしまう消耗品です。
 それが歯科疾患が加わると、歯の寿命が短くなっていきます。
 早期に抜歯となる3大原因には、
 1.進行して歯質が著しく崩壊したムシ歯(う蝕)
 2.歯を支えている周囲の骨がなくなる(植立が悪くなる)歯周病
 3.転倒などにより急激な力がかかり歯に亀裂が入ったり破折が起こったりする場合(外傷)
 があります。
 歯科疾患にかかわらず、患者さんの現在や将来のメリット・デメリットを考慮して診療を行っています。
 歯科医師により抜歯の治療を選択する際も、デメリットよりメリットが大きい場合に行なわれます。
 口の働きには、「しゃべること」、「食べること」、「表情を作ること」があります。
 歯がなくなると、息が漏れて上手く話せなくなり、噛めないので食べられなくなり、頬や唇がくぼむことで顔貌(見た目)の変化がおこります。
 治療の結果が見込めない歯や、治療を繰り返し保存(歯を残す)することが出来なくなった歯を無理に残しておくと、ムシ歯や歯周病の原因菌が増殖を引き起こし、健全な歯にまで悪影響を及ぼします。
 さらに、ムシ歯によって崩壊(ほうかい)した歯は痛みをともなったり、噛み合わせが悪くなったりして、十分に食物が噛めません。
 歯の支えが悪くなる歯周病も、歯がグラグラして噛むと痛かったり、噛む力で歯が支えきれなくなったりします。
 このように口の働きの障害になり、治療効果が見込めない場合は、抜歯処置が選択されます。
 しかし、機能面だけでなく、患者さん自身の心理的な要因も考慮にいれる必要があります。
 すなわち、歯が少なくなるに従い、多くの方は『歳を取った』と感じ、気力も消失する傾向があります。
 特に考慮が必要な場合は、最後の一本の歯を抜歯する時と言われています。
 心のケアのため、敢えて抜歯せずに歯根だけにして残す場合もあります。
 将来、歯を抜かなくても済むように、定期的に歯科健診を受け、継続的にお口の状態をチェックし、重篤な歯科疾患を作らないことが肝心です。
 現在、ムシ歯や歯周病が原因で抜歯に至るケースがほとんどですが、それを少しでも解消するため一番大切予防法は「プラークコントロール(歯を磨くこと)」です。