インフォームドコンセント

令和2年2月3日(月) 掲載

インフォームドコンセント」という言葉を良く耳にします。 医療を受ける際に、ご自身の病気について、「医師から十分な情報や説明を受け、理解してから、同意の上で治療をしましょう」ということです。
 「説明・理解」、そしてそれを条件にした「合意」で、インフォームドコンセントは成立します。
 「合意(consent)」は、双方の意見の一致・コンセンサスという意味ですが、必ずしも提案された治療方針を患者さんが受け入れなくても構いません(提案を拒否することも合意に含まれます)。
 患者さんが、「全て先生にお任せします!」といって医師側からの情報や説明に耳を傾けないような言動や、逆に医師側の一方的な説明から、その方針を強制的に同意させるような言動は、「インフォームドコンセント」の概念から逸脱していることになります。
 また、患者さんが医師側から十分な情報と説明を基に、その治療方針を「拒否」した場合でも、医師側がそれを受け入れた場合は、「インフォームドコンセント」は成立することになります。
 説明する医師側は、その病気に対する医療行為の利点・欠点、予期される合併症、治療方法の選択、治療期間、費用面などについて十分な説明を行い、患者さんから同意を得る必要があります。
 またこの同意は、いつでも撤回することができるので、患者さんは自由意志で治療を受けられることになります。
 わが国では、1997年(平成9年)に医療法が改正され、「医療者は適切な説明を行って、医療を受ける者の理解を得るよう努力する義務」が初めて明記されました。
 歯科医院に来院された際に、よく患者さんから尋ねられる「この痛みはいつ止まるか?」、「歯を抜かなくても治せるのか?」、「治療方法は?」、「治療にかかる日数は?」、「健康保険でできるか?」など、これらを医師側が説明させていただき、理解を求めなければならないものなのです。
 最近の歯科医学の進歩はめざましく、以前なら抜いてしまった歯も、できるだけ抜かずに残こせるように治療する傾向が強くなってきました。
 自分の歯がどのような状態になっているか、機能や審美性を回復するためには、どういった処置が必要か、またどのような治療法があるのか、どのような材料があるのか、費用面はどうなのかなど、充分な説明のもとで納得できる歯科治療を選択していただくことが「インフォームドコンセント」の概念です。
 例えば、不幸にして抜歯を余儀なくされた場合でも、抜歯後、歯が抜けた部分には、前後の歯を削って橋渡しするブリッジ、顎(あご)付の義歯、新たにインプラントを植立する方法も広く行われるようになり、選択肢が広がりました。
 少しでも、疑問を感じた時は、どんな些細なことでも主治医に尋ねて、納得してから治療を受けていただきたいと思います。
 治療を成功に導くために、患者さんの理解と協力なしにはできません。
 病気に対して、治療に対して積極的向き合って、よりよい結果が得られるように期待しています。