ムシ歯予防とシーラント処置について

令和2年5月18日(月) 掲載

生え始めて3年以内の歯は、乳歯でも永久歯でも、歯自体がとても軟らかい状態なことをご存知ですか? 見た目には分かりませんが、その軟らかさは、歯を削る器械が触れるだけで簡単に削れて行く感じがするほどです。
 歯が生えた後は、だ液中のカルシウムが歯に付着して、さらに硬くなって、そして生えてから3年が経って、ようやく硬い歯になります。 その間に注意したいことは、歯がまだ軟らかいので、ムシ歯になりやすく、乳歯でも永久歯でも、さらに乳歯と永久歯が混在している時でも、ムシ歯にしないためのケアが必要となります。
 食事をする時、前歯できざまれた食べ物は、奥に運ばれます。それを受け止めるのは下の奥歯です。 奥歯の溝は、上の歯よりも下の歯の方が深く複雑に刻まれています。
 この深くて複雑な溝は、食べ物の滑り止めの役目をしているものと思われます。
 よって、≪噛み合わせの溝の形が複雑なので≫→≪食べかすが溜まりやすく≫→≪ムシ歯になる可能性がある≫という図式になります。
 また、溜まった汚れを洗い流し、殺菌作用もあるだ液の排出口は、下の前歯の裏側の歯グキの下方にあり、下の奥歯から離れたところに位置します。
 こういった理由で、下の奥歯、特に第一大臼歯(六歳臼歯)がムシ歯になる率が高くなります。ムシ歯のリスクが高いと、「初期ムシ歯」に犯されやすくなります。初期ムシ歯は、歯垢(プラーク)に含まれる細菌から発生する酸が、歯からミネラル分を溶かし、歯の表層下がスカスカになる状態をいいます。この時点では痛みなどの症状はありません。この初期ムシ歯が進行すると、歯に穴があき、痛みを伴う大きなムシ歯になります。そこで、ムシ歯から歯を守りそのリスクを下げる事を目的として、生え始めの若い歯の溝に、プラスティックの樹脂を詰めてコーティングする予防処置(シーラント予防処置)が有効となります。
 治療時の痛みはありませんし、大きいお口を開けていれば、時間もかかりません。子どもたちが健康で安心して成長・発育していくため、「シーラント予防処置」についてご質問がありましたら、かかりつけの歯科医院にご相談ください。