全身の健康とお口の健康の深い関係
その2 歯科衛生士ができる糖尿病対策

令和2年7月20日(月) 掲載

今や国民病とも言われる糖尿病、予備軍も加えると日本人の4人に1人が罹患しているとも言われています。治療せず放置すると全身的にさまざまな症状が出て健全な日常生活を送ることもできなくなる怖い病気です。  
 糖尿病を患う方は歯周病になりやすいことがわかってきました。一方で、歯周病になると血糖コントロールが悪くなるとも言われています。糖尿病の予防・治療のためにも毎日お口のケアを行い口の中の健康にも気をつけることが必要です。
 まず歯周病とはどんな病気なのでしょうか?歯周病の原因は歯に付着した歯垢です。歯垢は細菌で構成され、その中には歯周病の原因菌も含まれます。この細菌は歯肉に炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かして歯の周囲の組織(歯周組織)を破壊し、進行すると抜歯せざるを得なくなります。
 歯周病の予防や治療で最も重要なことは患者さん自身が歯垢をブラッシングで取り除くこと(プラークコントロール)です。しかし磨き残しなく上手に磨くのは意外と難しいので、歯科衛生士による口腔衛生指導が必要となります。患者さん一人ひとりにあったブラッシングの方法、使用する器具などを共に考えご提案・ご指導することが歯科衛生士の重要な業務の一つです。
 さらに定期的に歯科医院で取り残した歯垢や固くこびりついた歯石を除去すること(スケーリング)もメンテナンスとして必要で、このプロフェッショナルなクリーニングも歯科衛生士の主要な業務です。このように歯周病の進行防止に歯科衛生士は欠かせません。  それではなぜ、歯肉の炎症である歯周病が糖尿病に関わってくるのでしょうか。炎症のある歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出されています。そしてその炎症関連の化学物質は、体のなかで血糖値を下げるインスリンを効きにくくします。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなるのです。歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善するという研究成果も数多く報告されており、最近では歯周病と糖尿病に密接な関係があることはもはや常識となっています。
 また逆に血糖コントロールが悪いと、歯周病の治療効果が出にくかったり、歯科治療をすぐに行えなかったりする場合もありますので注意が必要です
 以上のように糖尿病治療にはプラークコントロールとスケーリングが必要不可欠で、歯科衛生士という職業が糖尿病治療においても重要な役割を占めていることがお分かりいただけたことと思います。お口の健康だけでなく全身の健康にも関わる歯科衛生士という職業はとてもやりがいがあり社会的にも貢献できる職業です。歯科衛生士に興味を持ち、志望する方はぜひ豊橋歯科衛生士専門学校までご連絡ください。校内の見学も随時受け付けております。