歯の神経を取った後に痛むのはなぜ?

令和3年1月18日(月) 掲載

ムシ歯で歯が痛くなった時、「歯の神経を取れば、この痛みはなくなります!」と説明を受けて神経を取ってもらったのに、何日たっても痛みが続くという経験をされた方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
 せっかく歯の神経を取ったのに、なぜ痛みが続くのでしょうか?
 これにはいくつかの原因が考えられます。
 1つ目は、歯の神経を取るということは、針の様な器具を使って歯の根の中にある管から神経を切断して除去する行為です。
 生きている神経を切断する訳ですから、切断面に外傷性の炎症が起こります。
 この炎症が痛みの原因となることがあります。
 2つ目は、歯の根が複雑な形をしていたり、神経の入っている管が細くて神経を十分に取り切れていないために痛みを感じる場合があります。
 歯の根というのは、前歯から奥歯にいくにつれて本数が増え、形もほぼ真っすぐであったのがバナナの様に曲がった形になり、神経の数も前歯では1本であったものが、奥歯にいくにつれて3~4本と増えていきます。
 こうしたことから、1回の治療では炎症をおこした神経を十分に取りきれず痛みが続いてしまうことがあります。
 根の治療には、どうしても時間と回数がかかってしまうことをご理解いただけるかと思います。
 3つ目は、神経を取る時に使う針の様な器具による機械的な刺激、炎症や痛みをおさえるために神経の管の中に使用する薬剤による化学的な刺激、感染した細菌による細菌性の刺激が根の外に伝わって痛みを引き起こすことがあります。
 4つ目は、ムシ歯による炎症が進行していたために、神経や根の外の組織の損傷が大きく、神経を取っただけでは炎症がおさまらずに痛みが続くことがあります。
 5つ目は、神経を取る治療後に行う仮のふた(詰め物)により痛みが起こることがあります。 通常、神経の管の中に薬剤を入れて、仮のふたをすることにより、痛みや炎症をおさえる処置を行いますが、時に炎症を起こした物質が仮のふたをすることにより、歯の外に出られなくなり痛みを引き起こすことがあります。
 この場合は、仮のふたを外すことで痛みはおさまってきます。
 以上が歯の神経を取った後に痛む主な原因です。
 歯の神経を取る治療は、前述したように複雑な根の形態から多くの治療時間を必要としますので、これらのことをご理解いただいて、治療を受けていただけたらと思います。