障がいをお持ちの方の歯科健診について

令和3年4月5日(月) 掲載

ムシ歯や歯周病といったお口の中の疾患は、障がいをお持ちの方の生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
例えば、ムシ歯の痛みにより思うように食事が摂れず、そのイライラから自傷行為や多動が増えてしまい、歯科を受診しても口の中を触られることを嫌がってしまうというように、口の中の不調から新たな二次的障がいを作り出してしまう可能性があります。
また、症状が出てから歯科治療を受けることは、障がいをお持ちの方にとって困難性を伴うことが多いようです。
 そもそも気付いたときには、すでに重症化していることも少なくありません。
 自ら訴えることが困難だということもあるかも知れません。
 以上のような理由から症状が出る前、できるだけ早期に歯科健診を受けられることをお勧めいたします。
 歯科健診では、ムシ歯の有無のみならず、歯グキの状態、歯並び・かみ合わせのチェック、場合によっては歯科衛生士による専門的な口腔清掃・予防処置を行うこともあります。
 そして、障がいの程度や得られた情報に基づいて、予防管理・治療計画を立案し、処置(治療)を行ったり、発達の援助となるように機能訓練を行うこともあります。
 歯科健診を受診する理想のタイミングは、一本もムシ歯がなく、痛みなどの 症状がない時期からです。
 そうすることで歯科に慣れ、継続して予防管理を受けることで歯科疾患を未 然に防ぎ、それがひいては障がいをお持ちのご本人また保護者の方の負担軽減 に繋がります。
 もしムシ歯や歯周病などがあり、治療を受け、全ての治療が終わったとして も、それで終了ではありません。
 ムシ歯や歯周病の治療を終え、もう大丈夫と安心していても、プラークコン トロール(歯磨き、ブラッシングなど)が不十分だと、健常者の方でも再発したり、場合によっては前より悪化してしまったりということがない訳ではありません。
 治療後、長く良い状態を維持していくためにも、ご本人や保護者の方のお口の中の管理に対する深い理解に加えて、定期的に歯科健診を受けることが大切です。   歯科健診が障がいをお持ちの方々の健康維持・増進のきっかけとなり、健全な日常生活を送る一助となるよう願っています。