障がい者歯科診療における高度医療の連携について

令和3年5月24日(月) 掲載

豊橋市「こども発達センター」の歯科では、受診された障がいを持った患者さんとそのご家族の方々が、少しでも安心して診療を受けていただけることができるよう心がけて診療に取り組んでいます。
 処置(歯科治療)に対して不慣れな方や恐怖心の強い方には、診療台に座る練習から始まり、診療器具の写真や絵カードなどを使用した視覚支援や系統的脱感作法(歯ブラシ→歯科用ミラー→ピンセット→電動歯ブラシ→歯を削るドリルといった順番に、道具に慣れていきながら、お口に入れる練習をします)を併用し、徐々に不安や恐怖心を取り除き、歯科治療が可能な状態へとトレーニングしながら診療を進めています。
 軽度の自閉症・知的障害の方に有効であるとされている笑気吸入鎮静法(笑気ガスを吸入すると鎮静効果が現れます)を併用することもあります。
 それでも診療が困難な患者さんに対しては、全身麻酔下での処置も選択可能になりました。
 豊橋市「こども発達センター」には、全身麻酔の処置室はありませんので、 全身管理が可能な病院を紹介させていただき、2泊3日の入院下で処置(歯科治療)を進めていきます。
 全身麻酔をかけることによって、患者さんは処置の痛みや精神的苦痛を感じることなく、一度に多くの治療が可能であるという利点があげられます。
 治療の選択肢も広がり、ある程度の処置が短期間で行うことが可能になります。
 しかし全身麻酔をかけるためには、それなりのリスクも考えなければなりません。
 手術前の検査や口腔外科医・麻酔医による術前の診察に複数回の通院が必要であること、入院による環境の変化への対応、麻酔による身体的負担など、様々なハードルがあり、それらに対応出来るかどうかを事前に確認しなければなりません。  また術後の対応として、全身麻酔を利用した無意識下での処置(歯科治療)では、歯科診療に慣れるということが出来ない患者さんにとっては精神的問題が、診療側の我々にとっては診療経過上の大きな問題にぶつかることがあります。  よって、全身麻酔下での処置(歯科治療)終了(退院)後は、定期的なトレーニングがさらに重要となってきます。  豊橋市「こども発達センター」歯科では、患者さんの障がいの程度や口腔内の状態により、その方に最も適した治療への対応と、どのような処置(歯科治療)が適切であるかを診断して、家族の方々と充分に相談しながら最も安心・安全で有効な歯科診療を行っています。