歯科衛生士が考える新型コロナ感染症 その2

令和3年7月19日(月) 掲載

私は豊橋市内の歯科医院に勤務する歯科衛生士です。今回で2回目となるこのコラム、今回は歯科医院が新型コロナウィルス感染予防のため行っている具体策について、 歯科衛生士目線で詳細にお伝えしてゆきたいと思います。
 歯科では新型コロナウィルス以前からスタンダードプリコーション(標準予防策)と言う規範のもとに診療をしている旨を前回ご説明しました。 新型ウィルス以外にも唾液や血液を介する感染症が存在するため、唾液や血液に頻繁に接触せざるを得ない歯科治療においては手術室並みの感染予防策が求められます。 私たち歯科衛生士を含め歯科治療に携わる者は感染予防に対する厳しい教育を受け、歯科医院を開設する歯科医師は開業後も定期的に感染予防に関する講習が義務化されているようです。
 私が歯科医院に就職し先輩歯科衛生士に最初に教え込まれたのは、清潔域と不潔域の区別と感染予防策でした。 経験を重ね身に沁みついたこの感染予防の習慣のおかげで、新型コロナウィルスの時代になっても、 今までの日常の診療の延長線上の予防策で対処できると思ったので特に意識の大きな変革は無く、あまりストレスは感じていません。
 まずは私たち医療者が感染を診療室内に持ち込まないよう私生活でも感染リスクを避け、毎日仕事前に検温をすること、体調の変化に気を配ることです。 休憩中や昼食時のスタッフのソーシャルディスタンス維持やマスク着用にも気をつけています。
 グローブ、マスク、ゴーグルやフェイスシールドの着用や飛沫防止のため口腔内外のバキューム装置、使用器具のオートクレーブによる滅菌処置、 ディスポーザブル器具の活用や治療前後の口腔内消毒等は新型コロナ以前から歯科医院で一般的に行われてきたことだと思います。 私の勤務する歯科医院では受付や診療イスごとのパーテーションは新型コロナ以前から装備されていましたし、 玄関の患者さん用のアルコール手指消毒も新型コロナ以前からありました(使用者はあまり多くはありませんでしたが)。
 加えて診療前の新型コロナに関する問診、検温や診療イスなど患者が触れる部位の患者ごと毎回のアルコール消毒などは新型コロナ以後一般化しました。 高性能空気清浄器の導入、常時窓を開けて持続的な換気をする、予約を調整し待合室が密にならないようにするなどの工夫もされるようになりました。 現在は医療従事者のワクチン優先接種の制度のおかげで全員のワクチン接種も終わりさらに安心感が増した感じです。
 前回もお話ししたように、私が心配するのは患者さんの受診控えはもちろんですが、若い人が医療関係への進路を敬遠するような風潮です。 新型コロナウィルスに対して正しい知識があり、正しく恐れることができれば、歯科衛生士は決して危険な職業ではありません。 豊橋歯科医師会が運営する豊橋歯科衛生士学校では今年も夏休み期間中(7月29日、8月5日、8月19日)に感染対策を充分にとってオープンキャンパスを開催しますので歯科衛生士を志す方はぜひ参加し、 新型コロナウィルスに対する不安を解消してください。ご家族のご参加も歓迎いたします。