親知らずって抜かないといけないの?

令和4年4月18日(月) 掲載

親知らずは、絶対に抜かないといけないのかと言うと、そうではありません。親知らずが、他の歯と同じようにきちんと生えそろっていれば、そのままにしておいて問題ありません。
 ただ、最近では、昔と違いあまり固い物を噛まなくなったせいか、顎の骨が徐々に小さくなってきていると言われています。
 そのせいで、親知らずがきちんと生えてくる事ができず、ほとんど骨の中に埋まった状態で生えてきたり、横向きだったり、斜めだったり、隣の歯に引っかかったと変な状態で生えてくる事が多くなっています。
 そうなってくると何が問題かと言うと、歯の頭の部分には隙間があいていますので、そこに無数の細菌が入り込み、増殖して炎症を引き起こしてしまう事があるのです。
 悪化すれば、炎症は周囲に広がり、筋肉や組織の隙間で蜂の巣状に炎症が起き膿がたまる蜂窩織炎(ほうかしきえん)や、骨髄炎を起こして顎の骨の壊死を起こしたり、 まれに、全身に菌がまわる、敗血症になったりする場合があります。
 通常、抗菌剤や消炎鎮痛剤投与で、ある程度症状は治まるのですが、疲れたり病気を患って免疫力が低下すると、また再発してくる可能性があります。
 ですから、女性の方は、妊娠して薬が飲めなくなる場合がありますので、「結婚する前には、親知らず抜いておいた方がいいよ。」と言われる先生もおられるのです。
 また、変な生え方をしている場合には、「難抜歯」になる場合が多く、大きな病院の口腔外科で抜いてもらう事になります。歯肉に切れ目を入れ、まず、歯の頭の部分を抜きその後、骨に埋まっている部分を抜いていきます。 特に、下の歯の親知らずを抜く場合には、近くに動脈や神経が通っているため、全身麻酔や入院して抜く場合もあります。
 「難抜歯」においては、神経を傷つけてしまい、後から後遺症が出てくる場合もあります。抜歯後、唇や抜いた側の皮膚の感覚が鈍くなったり、しびれた状態が残ったりする事もあります。 そうなった場合には、ビタミン12やATP(アデノシン3リン酸)を数カ月投与する方法が一般的です。   では、そのままにしておくとどうなるか、何とか騙し騙し腫れるたびに薬で抑えていると、今度、中高年以上になった時、固くなった周囲の骨と癒着してより一層抜歯するのが難しくなる場合もあります。
 ご心配な方は、かかりつけの歯科医院でレントゲン写真を撮ってもらい、先生に自分の状態、抜いた方がいいのか相談に乗ってもらっては、いかがでしょうか。