歯のQ&A
平成26年5月6日(火) 東日新聞掲載
キシリトールガムって、歯にとって良いと聞きました。キシリトールガムを噛むいいタイミングってあるのでしょうか?(食事前・後、歯磨き前・後)
(30代、男性、豊橋市)
[回答者]
豊橋市歯科医師会 氏名 近藤 則彦
キシリトールは、多くの果実や野菜の中に天然で含まれる自然の甘味料です。
私たちがガムやタブレットで口にするキシリトールは、白樺などの樹木からとれる成分を原料として生産され、カロリーは砂糖の約75%、そして虫歯予防の効果が認められています。
キシリトールがむし歯を防ぐ理由は、大きく2つに分けることができます。
1つは「むし歯の原因にならない」ということです。キシリトールは口の中で「酸」をまったく作りません。さらに酸の中和を促進する働きも持っています。キシリトールの甘さにより唾液も出やすくなるなど、口の中をむし歯になりにくい状態に保ってくれます。
もう1つは「むし歯の発生、進行を防ぐ」ということです。むし歯の原因となるプラークをつきにくくし、歯の再石灰化を促します。さらにキシリトールは、むし歯の大きな原因とされる原因菌(ミュータンス菌)の活動を弱める働きを持っています。このむし歯原因菌への働きは、他の甘味料にはみられないキシリトールだけの効果です。
キシリトールガムを噛むタイミングについてですが、歯垢を落としやすくするには歯磨き前が、歯質を強化するなら歯磨き後が効果的と言われています。歯磨きの後に甘いものを摂ることに抵抗がある場合は、歯磨き前に噛んでもいいでしょう。
また、唾液の分泌が減るおやすみ前に噛むことも、むし歯予防には効果的です。
キシリトールガムは食品ですから、回数
やタイミングはあまり気にせず、何かを食べたら噛む、というように、無理なくできる方法で、習慣にするとよいでしょう。キシリトールの成分はおよそ数分で流出しますが、よく噛んで、唾液をたくさん出すことも、むし歯予防に大切なことです。ですから、ガムを噛む場合は、味がなくなってもそのまま5分~10分噛むことをおすすめします。
キシリトールを食べると、2週間で歯垢が減りはじめ、3ヶ月ほど経つとむし歯になりにくくなるといわれています。しかし、その後すぐにやめてしまうと、しばらくして再びむし歯菌が増え始め、むし歯になる危険性も高くなってしまいます。むし歯予防のためには、まずは毎日、続けて摂ることが大切です。
ただ、キシリトールがあれば、それだけでむし歯を防げるわけではありません。歯をむし歯から守るためには正しく歯を磨いたり、フッ素が配合されたはみがき粉を使ったりする事が大切です。キシリトールは、プラークを剥がれやすくし、ブラッシングの効果を上げたり、フッ素と一緒になって、より歯を硬くするなど、普段のむし歯予防に加える事で大きな効果を発揮します。毎日の習慣にプラスして、虫歯予防をしっかりと行っていきましょう。
過去に掲載された「歯のQ&A」や歯の関する情報は、豊橋市歯科医師会公式ホームページ「ミラー」でご覧い
ただけます。
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