歯のQ&A

平成27年8月19日(水) 東日新聞掲載

妊娠してから歯ぐきからよく出血するようになりました。どうしたらいいのでしょうか。
(20代女性、主婦=田原市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 瀧澤 利光先生
 妊娠中は分泌される女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の量が増えるとともに、食生活や嗜好の変化、つわり、ストレスなどにより、口の中の環境が悪化します。
 これらにより、虫歯、歯ぐきからの出血、妊娠性エプーリス、口内炎、口角炎、親知らずの周囲炎などの病気が起こりやすくなります。
 今回ご相談の出血については、特に12~16週の間は起こりやすくなります。原因は、プラーク(歯垢)の量や総細菌数が影響を受けるのではなく、プラークの質に変化がある為と言われています。歯ぐきより下のプラークの細菌(グラム陰性嫌気性桿菌:P.intermedia)が、女性ホルモンを発育素メナジオン(ビタミンK3)の代わりに、利用し増加するためと言われています。この女性ホルモンは、卵巣から産生され胎盤へと徐々に引き継がれ、その量は出産まで増加し続けますが、出産後には減少します。そのため、出産すると症状は少し減退します。
 対処としては、プラークを減らすブラッシングで抑えられたり、歯科医院での歯石除去で出血を減らせます。歯科の受診では妊娠初期(~15週)や後期(28週~)は催奇形性が高くなるため避けていただき、妊娠中期(16週~27週)の安定期に行くようにしましょう。
 また妊婦時の重度の歯周病は、早産(37週未満)や低体重児出産(2500g未満)が健常の約7倍になると示唆されています。その為、妊娠前から現状を把握してもらうためにも、かかりつけ歯科医院で歯科疾患予防を行うようにしてください。

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