歯のQ&A

平成28年2月18日(木) 東日新聞掲載

昔、親知らずを苦労して抜いた覚えがあるのですが、最近歯医者にかかった息子は、「親知らずが4本生えているけど抜かなくていいよ」と言われたそうです。親知らずを抜かないといけない場合、抜かなくてもいい場合があるのですか?
(50代女性、パート=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 加藤 武伯
 「親知らず」は正しくは「第三大臼歯」「智歯」ともいい、高校生くらいから二十歳前後の頃に口の中の一番奥に生えてくる永久歯のことです。最近では、生まれつき親知らずの無い人もいますし、レントゲン写真を撮影して、初めてあごの骨の奥深くで眠っている親知らずが見つかる人もいます。  
 親知らずは、絶対に抜かないといけないのかと言うと、そうではありません。親知らずが、他の歯と同じ様にきちんと生えそろっていて、しっかりと歯磨きができて虫歯になりづらい様なら、そのままにしておいて問題ありません。
 ただ、最近では、昔と違いあまり固い物を噛まなくなったせいか、顎の骨が徐々に小さくなってきていると言われています。そのせいで、親知らずがきちんと生えてくる事ができず、ほとんど骨の中に埋まった状態で生えてきたり、横向きだったり、斜めだったり、隣の歯に引っかかったりと変な状態で生えてくる事が多くなっています。そのような状態だと、現在は症状がなくても、将来的に腫れて膿んできたり、ムシ歯などのリスクが高くなります。
 また、矯正治療を行っている場合は、抜くことが多くなります。小児の頃から矯正治療をして歯並びがきれいになっても、大人になり親知らずが生えてくると歯並びが悪くなってしまい、それまでの矯正治療が無駄になってしまうためです。
 歯を抜く際には、術後に十分休息がとれる時や、可能であれば翌日まで仕事を休める時を選べれば安心です。通常は局所麻酔で抜歯をすることが多いですが、生え方によっては難しい手術になる場合があり、入院して抜歯する事もあります。抜歯の影響で神経や血管が障害を受けることもあります。正しい方向ではない生え方をしいている親知らずの場合は、かかりつけの歯科医院から、専門医(口腔外科など)を紹介してもらい、抜くか抜かないかの判断をしてもらうとよいでしょう。
しかし、切除したとしても、その後に再発する方も見受けられます。  
 もし心配であれば、一度歯医者さんで診てもらうことをお勧めいたします。

過去に掲載された「歯のQ&A」や歯の関する情報は、豊橋市歯科医師会公式ホームページ「ミラー」でご覧い ただけます。
URL http://www.tda8020.org/