歯のQ&A

平成28年4月6日(水) 東日新聞掲載

自分の11歳の子の下の唇に、白いできもののような物が出来たり治ったりを繰り返しています。口内炎の薬を塗っても変わりません。これは何なのでしょうか?
(30代女性、パート=田原市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 村田 起一
下唇を噛んでしまった時や傷つけた時などに、下唇の粘膜が、半丘状にぷくっと膨れる場合があります。これは中に唾液がたまり、風船のように膨らむことによって生じた「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」と考えられます。皮下組織に汗腺があって汗が分泌されるように、唇の粘膜下には多数の小唾液腺があり、唾液を分泌しています。従って、唇を噛んでしまって小唾液腺が傷つくと、唾液が正常に分泌されず粘膜下で溜まってしまうことがあり、ぷくっと膨れてくるのです。 粘液嚢胞の特徴を挙げますと
① 形態的特徴:直径5㍉㍍前後の半丘状の粘膜の膨らみで、粘膜と同程度の柔らかさです。色も周囲の粘膜と似た色で、粘膜の表面や周囲には異常が見られません。
② 痛み:粘液嚢胞が口唇にできても、粘膜が傷ついた直後でない限り、痛みはありません。
③ 経過:何かの拍子に嚢胞の粘膜が傷つくと、嚢胞が破れて中の唾液が出てきてしぼみますが、再び大きくなる事が多いです。自然治癒は殆ど無く、傷ついた後はしばらく痛む場合もあります。
④ 治療:口腔外科的処置を行い、きっちりと切除する事が必要になります。

粘液嚢胞は気にして触っていると巨大化したり、線維化して硬くなる事もありますので、まずは早目にかかりつけ歯科医院の受診をお勧め致します。


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