歯のQ&A

平成28年5月16日(月) 東日新聞掲載

上の奥歯の歯と歯グキの境目に、ツメが引っかかるぐらいへこんでいるところがあります。特に痛かったり、しみたりすることありません。これは、治したほうがいいのでしょうか?またどうしてへこむのでしょうか?
(50代男性、団体役員=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 大久保 善正
 歯と歯茎に境目によくできるへこみをくさび状欠損といいます。冷たいものにしみたり、歯ブラシをあてると痛みを感じたりする場合や、ご質問の方のように全く症状のない場合もあります。 この原因には二つの事が考えられます。
① 強い力でゴシゴシ磨きすぎによるブラッシングが原因の場合。
② かみ合わせによる場合です。これは、噛む力によって歯の境目に引っ張りの応力が集中し、歯にクラック(ひび割れ)が起こり、歯質の破壊が起こると考えられています。
では、①の場合の対策としては、鉛筆持ちで歯ブラシを小刻みに動かし、硬めではなく柔らかめか普通の硬さの歯ブラシを使用し、歯磨き粉は少量にして磨きやすい外側ばかりでなく、磨きにくい歯の内側や後ろ側を多めに磨くように心がけましょう。②の場合は私生活や仕事で重いものを持ったり、スポーツで力を入れるときやストレスなどで歯を食いしばる癖がないか、考えてみましょう。心当たりのある場合は対処方として、唇は上下で合わさるほど閉じますが、上下の歯は触るかさわらないほどにアゴの力を普段から抜くように意識して過ごすようにしましょう。癖なので簡単に治すことは大変です。洗面所の鏡やテレビの端など目立つ所に「力を抜く」とメモを貼るのも効果的です。また、朝起きた時にアゴが疲れていたり、寝ているときに歯ぎしりがある場合、かかりつけの歯科医院で「歯ぎしり防止装置」を作ってもらいましょう。
くさび状欠損そのものの治療としては、くさびの程度にもよりますが徐々に深くなったり、見た目が気になれば白い歯と近似色のもので埋める方法はあります。
また、しみたり痛みを伴う場合はそれを抑制する薬剤を塗布することもあります。いずれにしてもそのへこみが大きくならないように痛みがでないように対処することが大切です。詳細は一度かかりつけの歯科医院でご相談されることをお勧めいたします。


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